自分が、もしくは家族ががんになったら?
『生命の羅針盤は感情ではない』
日本人の死因の第一位はがん… |
ということは、がんは非常にありふれた、よくある病気なのですが…
といって、自分が、もしくは自分の大事な人が、例えば家族が『がん』になったと知らされたら、一体どんな気持ちになるのでしょうか。
たいていの人は、まずビックリして、そして落ち込んで、そして治せるものなら治したい、治してほしいと思うのではないでしょうか。
それは、人として至極当然の気持ちだと思います。
ところが、非常にシビアな言い方をしますが、お医者さんの目から見ると、治せる病気は限られているのです。特にがんも、末期になってくると、医療でできることが少なくなってきます。
でも、希望を持ちたい人、この場合はつまり患者さんですが、その人や家族に向かって、『できることがない』もしくは『できることが少ない』とは、誰しも、たとえお医者さんであっても言いたくはないのでしょうか。できることなら、どこまでも有効な方法を提示し続けたい、それが人間の気持ちだと思いますし、お医者さんであっても変わることはないのではないかと私は思います。
しかし、治せないものは治せないのです。そこで、お医者さんは冷静に、あくまで確率論から『あなたの余命はあと1年です。治る確率はAという治療法で10パーセント、Bという治療法で5パーセントです。それ以外の方法は確立されていません。痛みが出る確率が40パーセント、それを防ぐ方法としてCとDという治療法がありますが、効き方には個人差があります。どれを選ぶか、よく考えて結論を出して下さい』なんて言わざるを得ないのです。聞きようによっては、ものすごく冷酷非道な、鉄仮面みたいですよね。でも、事実は事実です。
そう、『生命の羅針盤は感情ではない』…医師である私はそう思います。
じゃあ、そんな時、お医者さんは何を考えているの?>>