お店の看板 入り口
オレンジの看板が目印。階段を下りていく。


閑静な麻布の町並みの中に、あれ?と不思議な半地下のスペース。 公園の近くだから、遊んだ帰りの小さな子供が、お母さんより先に気づいて、足元の窓を覗く。 階段をとんとんと下りていくと、ふわっと広がる木の香り。いい匂~い! 思わず深呼吸してしまうほど。 無垢の素材を活かした店内はギャラリーのようだけれど、ショップであって事務所でもある。 版画家の西岡さん、そして建築家の安河内さん二人の活動拠点。 普段はこんなふうに整頓されて、作品が並んでいるけれど、 時にはアトリエとして、木屑や絵の具が飛び散っていることもあるらしい。

店内 店内
すっきりとシンプルな店内。什器は全部手作り。

もともとは事務所としてスタートしたこの場所。壁は断熱材、床もカーペットを 剥がしただけのコンクリートむき出し。什器は全部手作り。建築家だから当たり前、といえば 当たり前だけれど、インテリアにはそこかしこに計算された遊び心が溢れている。飾り棚兼収納ボックスには、 仕事で使う工具類をしまっていたり、入り口にある傘立ても、実は建築土台に使うコンクリートの 一部分だったり。さりげなく出してくれたコーヒーを載せたお盆ももちろん作ったもの。 木の板に取っ手を付けただけなのに、気が利いていて見た目にもかっこいい。普段仕事でいじっている建築部材を、ちょっと見方を変えて魔法のように変身させてしまう。

箸置き 椅子
お盆 チョーカー
無塗装で木そのものの味わいを出す。右上の椅子は下に雑誌などを入れられる。

安河内さんいわく、 建築の仕事は図面引きが多く、長く座って作業し続けると、無性に体が動かしたくなるのだとか。 そんなときにちょっとした小物を作って気分転換する。また、室内のイメージを具体化するために家具を作ってみたら、 結構楽しくて、気づいたらいろんなアイディアを駆使していた。そしてお客様からもこれが欲しい、という注文が入るように。 そんなこんなで必要に応じて、自分たちのオリジナルが出来上がっていったのだそう。 お店をやるというより、自分達の活動を発表する場、という印象が強い。 欲しいと思ったものが世の中にないから作っているだけ。 肩の力を抜いて、根本的には自分たちが楽しめるものを作っている。

お店にあるものは、オリジナル商品のほかに、仕事や人とのつながりを通して出会った、職人の作る作品もある。 たとえば左上のお箸。箸置きを作ったときに、ディスプレイ用として飾っていたら、 箸が欲しい、というお客様からの要望が多くなり、江戸木箸の職人から卸してもらっている。 持ちやすいように計算された太さで、つかみやすいように先が丁寧に削ってある。納豆が混ぜやすいように 作られた専門の箸、なんていうのもある。 選んだ作品にはそれぞれエピソードがあって、作る心意気にも共感できることが多い。 同じくものを作る立場の人間として、学ぶこともたくさんある。 職人を訪ね、現場を見ることがなにより楽しい、と西岡さんもいう。

磁器 タオル
プレート
上左:リサイクルの有田焼。白の色がきれい
上右:愛媛産こだわりのタオル。染めや織りの専門家が結集してつくる
下:岐阜の若い職人の手仕事。ぴたりとした継ぎ目が美しい

安河内さんはいつもあちこちに面白いものを探して、アンテナを張っている。 家具や雑貨を作ることは建築の延長。最近はペットグッズや パン作りにも興味が広がる。 お店の名前、group-scoop(グループ・スクープ )のロゴデザイン は、スコップで穴を掘っているイラスト。移し変える、というような意味を込めている。 穴を掘ったら掘った部分が必要であると同時に、 掘られた分の土だって何かに利用できる。 入れ替わっても無駄になることはなくて、それぞれが役立つ何かを見つけてあげる。 物事をいろんな角度から見直して、新しいアイディアを考えるのが 楽しい。これからも、ギャラリーだったりお店だったり、事務所だったりアトリエだったり、 変幻自在に今やりたいことを追求して、面白いことを共有していきたいのだそうだ。

ディスプレイ ポスト
ブラシ 小窓
右上のポストもオリジナルデザイン。
左下は浮づくり加工用のブラシ。工具もインテリアの一部。
右下の小窓はキッチンからお茶を出すのに便利。


group-scoop(グループ・スクープ )
東京都港区南麻布3-4-8 B1F
tel 03-3445-1500
(気ままにOPEN&CLOSEなので、訪れる際はお電話を!)
http://www.group-scoop.com/



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