雑貨/ハンドクラフト・工芸

金属工芸作家・坂野友紀さん クールで温かい金属のうつわたち(2ページ目)

坂野さんのうつわはトントンと丁寧に叩かれた金属でできています。硬く冷たいはずの金属が、人の手によって柔らかく温かいかたちに生まれ変わります。

江澤 香織

執筆者:江澤 香織

雑貨ガイド

素材から作品になるまでの工程は?

はさみ
いろいろな種類のはさみ。素材の厚みや大きさによって使い分ける。
坂野さんが主に扱う素材はアルミや真鍮、洋白(銅と亜鉛、ニッケルの合金)など。 板状のものははさみでかたちを切った後、叩いて凹みや模様を作り、 食器の場合は内側を錫引き(錫のかけらを溶かして膜をつくることにより、錆びにくくなる)することもあります。

棒状の素材は、ニッパーのような器具で熱しながら捻じ曲げたり、 部分的に叩いたりして、かたちを作ります。 最後は、荒いものからきめ細かいものまで様々な種類のヤスリを順番にかけ、徐々に滑らかな質感に整えていきます。

素材木台
板状の素材。好きな形に切り抜く。凹みのついた木の台(これも手作り)。叩いて形作る。
素材スプーン
棒状の素材。スプーンなどを作るときはこれを使う。スプーンができるまで。ヤスリを使い分けてきめ細かく仕上げる。


坂野さんの創作意欲はどこからきてるの?

オブジェ
アトリエにはインスピレーションをくすぐる、不思議なものが並んでいる。
大学時代は、実は木工をメインに学んでいたという坂野さん。 それ以外にも日本画や帽子作りなど、様々なもの作りを経験したそうです。 たまたま授業以外の課題で金工をやってみたら面白くなってしまい、 4年で卒業するはずだった大学を、さらに2年残って金工を学びました。

「自分で考えて動かなければ事が進まない中で、例えば業者さんと交渉するなど、普段だったら会えないような人と出会えることも面白かった。」と坂野さんはいいます。 授業で習うという受身の姿勢ではなく、自ら積極的に試行錯誤したことが、 創作意欲を膨らませた理由のひとつだったようです。

ボタン
坂野さんのボタン見本コレクションのひとつ。見ているだけで楽しくなってくる。
展示会にも参加して作品を並べるようになり、そこから様々な人との出会いがあって、 気がついたら今の仕事につながっていました。

次ページはいよいよ、坂野さんの作品が見られる個展の情報です。
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