優雅に佇む、圧倒的存在感。
美術館で絵画を鑑賞していると、ある一瞬、すっとその世界へトリップしたような、 不思議な感覚に捉われることがあります。 自分と絵の境目がもやもやとかすんで、絵の中にぽっかりと浮かんでいるような感覚。 そして次第にじわじわと満ち足りた気分が訪れます。 この一枚の絵皿も、まさにそんな感覚でした。
アートを普段の暮らしの中に
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展示会でのワンシーン。 |
「soil」シリーズ。イマジネーションを掻きたてるデザインです。
村上周(むらかみ・あまね)
アートディレクター、アーティスト。
1975年生まれ。神戸芸術工科大学プロダクトデザイン学科在学時にシルクスクリーンと出会い、 イラストレーション、グラフィックデザインを学ぶ。同大卒業後、創作活動を始め、 また、アートディレクターとして広告、書籍の装丁、CD・DVDのジャケットやカタログ、 アパレルなど、多岐に渡って活躍中。
アンティーク家具と合わせたディスプレイ。
写真右中のネコとウサギのシルエットは、お皿の裏のロゴ。
左下はお皿を入れるパッケージ。このデザインも素敵です。
アートだと考えると何やら近寄りがたい雰囲気ですが、 テーマは「art de vivre(アール・ド・ヴィーヴル)」。 生活は芸術、という言葉の通り、日常の中にアートを気軽に取り入れて欲しい、 という思いが込められています。 だからこのお皿は飾っておくだけではなく、実際に食卓でじゃんじゃん使えます。 繊細に見えるけれど、岐阜の美濃焼であり、気兼ねなく手に取れる丈夫なプレートです。 絵も上乗せしたプリントとは違い、しっかり焼き込まれているため、洗ってもそう簡単には落ちません。 これが一枚あるだけでパッと場が華やぎ、食卓を賑やかなものにしてくれます。 気分も食欲も変わってきそうですよね。
アートはコミュニケーションの絆
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左は直筆の絵画。右は絵を身近に楽しめる「canvas」のシリーズ。 |
上左は年賀のイメージで描かれたもの。右はラフスケッチの一部から。
下はCDアルバムに使われているものですが、生で見る迫力はすごい。
村上さんの精力的な”描きまくり”は現在も続いているようで、 ドローイングファイルが何冊も事務所の棚に詰め込まれていました。 そんな大量のラフスケッチや作品の中からいくつかを見せてもらったのが、 上の写真です。CDジャケットや本の装丁、アパレルのカタログなど、村上さんの 活動は幅広く多岐に渡っており、一番下のキャンバスに描かれた赤い絵は、 EGO-WRAPPIN'(エゴラッピン)の最新アルバム「EGO-WRAPPIN' AND The GOSSIP OF JAXX」 のジャケットに使われているもの。全体のアートディレクションも行っています。
「これからもどんどん自分を変化させて、常に新しい発見をしていきたい。 オリジナルとは進化するもの。5年後の自分は全く違うかもしれないです。 芸術は枠がないから、やりたいと思うことをまっすぐに実現できるのが楽しい」。
外国でたとえ言葉が通じなくても、作品を通して意思を伝え合ったり、 仲間になることができる。アートから生まれたコミュニケーションの絆が、 村上さんにとって最も大切な宝だといいます。 そうやってできた多くのつながりが、お互いに支えあって、 そこからまた新たな作品を生み出しているようです。
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