B型肝炎ウイルス感染による症状
B型肝炎は血液検査でわかります。不安なときは、病院で相談を
- 全身倦怠感を感じる
- 食欲不振、悪心・嘔吐がある
急性B型肝炎の症状
ウイルス感染後に急性B型肝炎を発症(HBVの顕性感染)すると、上記の症状に続いて下記のような症状が出ます。- 診察で肝臓の腫大が見られることがある
- 右背中に鈍い痛みがある
- 右背中を叩くと痛む
重症化した急性B型肝炎の症状
さらに重症化した場合は次のような症状が出ます- 尿が紅茶のように褐色になる
- 皮膚に黄疸の症状が出る
- 目の白い部分が黄染する
実際にはB型肝炎には症状がないことが最も多く、また症状があったとしても、いわゆる風邪のような症状だったり、だるさだけだったりします。不安な場合は、病院で相談をする方が安心です。
HBVに感染しても自覚症状がないまま経過し、ウイルスが生体から排除されて、治癒してしまうこともあります(HBVの不顕性感染)。なお、B型肝炎ウイルス持続感染者(HBVキャリア)が肝炎を発症した場合も、急性B型肝炎と同様の症状が出現する(HBVキャリアの急性増悪)ことがあるため、肝炎の症状がみられた場合には、適切な検査を行って両者を区別する必要があります。B型肝炎ウイルス持続感染者(HBVキャリア)が慢性肝炎を発症している場合も、ほとんどの場合自覚症状に乏しいので、定期的に肝臓の検査を受け、かかりつけ医の指導の下に健康管理を行い、必要に応じて治療を受けることが大切です。
B型肝炎ウイルスの感染検査
B型肝炎ウイルスに感染しているかは血液検査で調べることができます。血液検査では、まず「HBs抗原」というものの有無を検査します。検査でHBs抗原が検出された場合、その人の肝臓の中でHBVが増殖していて、血液の中にもHBVが存在するということを意味します。B型肝炎ウイルスは直径42nm(ナノメーター:1nmは1mの10億分の1)という非常に小さなウイルスですが、その外殻を構成するたんぱく質が「HBs抗原」なのです。HBVそれ自体が血液中に存在しているかどうかを検査する方法としては、HBVの遺伝子の一部を増幅して検出する核酸増幅検査(Nucleic acid Amplification Test: NAT)という検査法が実用化されています。また、この方法により、血液中に存在するHBVの量を定量することもできます。
肝臓の状態を調べる検査
肝臓専門医のいる病院、診療所では、一般に血液検査と超音波(エコー)検査が行われます。B型肝炎の不安があり病院で検査を受ける場合の一般的な流れを説明しましょう。まずはB型肝炎にかかっているか。これは上記の血液検査でHBs抗原をチェックすればわかります。特に体に異常がないのに検査を希望する場合は、保険が適応されません。しかし検査は採血を一回するだけで済むので、検査費用は自費でも数千円程度です。
もし血液検査でHBs抗原が陽性となり、B型肝炎にかかっていたことが判明した場合は、感染力の強さ、炎症の度合い、病気の進行度などを検査するために改めて血液検査をすることになります。この場合も採血一回で検査は終了。ここからは保険診療になり、ウイルス検査を含めても、費用は5000円前後です。
その後は特に治療をしなくていいのか、3ヶ月に一度は外来を受診すべきなのか、毎月通院をしたほうがいいのか等、病気の程度によって変わってくるので、検査を受けた病院で相談しましょう。
B型肝炎に関する検査法のまとめ
主に以下の3つの検査があります。■血液検査
肝炎ウイルスの有無を検査し、B型肝炎ウイルス持続感染者(HBVキャリア)かを知ることができる。必要に応じて、HBe抗原、HBe抗体、HBVの量などについても調べます。
■血液生化学検査
AST(GOT)、ALT(GPT)値という数値を測定し、肝細胞破壊の程度(活動度)を調べます。このほか、肝臓の機能(タンパク質合成の能力、解毒の能力などが保たれているか)、血小板数なども調べます。
■超音波(エコー)検査
ごく初期の慢性肝炎か、肝硬変に近い慢性肝炎かなど、肝臓の病期の進展度合や、癌などの肝臓内部の異常を調べます。 これらの検査の結果、必要に応じて次の段階の検査(CT、MRI、血管造影など)を行うこともあります。 こういった大掛かりな検査になると一般の診療所では難しいので、診療所から病院を紹介してもらい、検査を受けることになります。