痩せとガンとの関係
肥満度(BMI[単位:kg/m/m])とガンの関係を考える時、日本人の場合はBMIが欧米に比べて全体的に低いので独自の検討が必要です。欧米の基準では肥満となるのはBMI30以上ですが、アメリカではBMI30以上に該当する人が25%以上います。なお、ガン統計では男性と女性を別々に検討しなくてはいけません。
日本の女性に関しては肥満度とガンのなり易さには特徴的な関係がないと報告されています。
日本の男性では欧米でも肥満とされるBMI30以上だとガン発生が多いと報告されています。もっとも日本の男性でBMI30以上に該当する人は2-3%です。逆に痩せた男性ではBMIが21未満だとガン発生が高く、特に19未満だとさらに高くなると報告されていました。日本の男性でBMIが21未満に該当するのは15%以上です。日本の男性に関してBMIの分布から従来の報告ではガンに対しては痩せの方が問題となるとされていました。
肥満男性は大腸癌になりやすい!
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大腸癌は男性の第4位!男性のガンによる死亡を部位別に見ると
1位 肺癌
2位 胃癌
3位 肝癌
4位 大腸癌
の順です。BMI・身長と大腸癌の関係についての報告がありますが、身長と大腸癌に関しては、男女共に関係は認められませんでした。
BMIと大腸癌の関係について見ると女性と男性では異なる結果となりました。女性ではBMIによる差は認められませんでした。男性については、痩せたからといって増加する傾向はありません。BMIが25未満では差がありません。一方、BMIが25を越えると大腸癌が増加します。特にBMIが27を越えると明らかに大腸癌が増えています。
ここで関係すると推定されるのは前のページでお話した、ソマトメジンC(IGF-1)です。成長ホルモンだけでなく、食事の摂取量が多いとソマトメジンC(IGF-1)分泌量は増加します。肥満度の高い人は食事の摂取量が多くてソマトメジンC(IGF-1)分泌も多いはずです。よって、ソマトメジンC(IGF-1)は大腸癌と関係する物質と推定されています。ただ、ソマトメジンC(IGF-1)分泌量の増加だけでは女性についてBMIが増加しても大腸癌の増加が見られない事をうまく説明できません。
肥満男性は小太りをめざそう!
以上のように、体型とガンについてさまざまな推測がされていますが、その関係性が明らかになっていないのが実情です。しかしBMIが27を越えると、大腸癌が増えていることは明らかです。日本人男性でBMIが27を越えている人は10%程度と推定されますが、肥満度が高い人が一気にBMI25未満を目指すのは無理があります。取りあえずの目標として大腸癌について差が出る27未満を目指しましょう。まずは「小太り」を目指すだけでガンのリスクが減ると思えば、やる気も出るというものです。ちなみに身長が170cmなら目標は77.7kgですので、ご参考に。
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