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成長ホルモンとガンの関係?
ここで考えられるのは、遺伝ではなく、ホルモンとの関係です。身長に一番関係のあるホルモンは、脳下垂体から分泌される成長ホルモンですが、これは眠っている間に分泌されます。『寝る子は育つ』という格言の通りです。この成長ホルモンが肝臓に作用すると、ソマトメジンCという物質が作られます。成長ホルモンの作用の多くはソマトメジンCを介して発揮されています。ソマトメジンCはIGF-1(インスリン様成長因子insulin-like growth factor 1)とも呼ばれますが、血中のIGF-1は食事の摂取でも上昇します。
高身長の人は脳下垂体からの成長ホルモン自体と、肝臓からのソマトメジンが成長期に骨に十分に作用した結果として、脚・骨盤・脊椎・頚椎の合計が大きくなっているのです。成長期を過ぎたガン年齢の時に、ガン細胞に成長ホルモンとソマトメジンC(IGF-1)が作用している訳ではありません。
このソマトメジンC(IGF-1)には抗老化作用があると考えられる一方で、ガン細胞の増殖を促進すると考えられています。身長が高いとガンになりやすい、という仮説は、ここからも言えるのかもしれません。
体細胞数とガン化の関係
ヒトの細胞は一定の確率でガン化(悪性化)するという仮説があります。この仮説に基づけば体細胞数が多いとガン化の確率が増えることになります。個々の細胞のガン化しやすさが考慮されていないのが欠点ですが、体細胞数は身長とある程度の相関関係があるので、この仮説の検証は難しくありません。ガンの統計を解析するときに身長を考慮すれば可能です。体重を決めるのは骨量・筋肉量・脂肪量
ヒトの体重から脳・内臓・皮膚を除くと残りは骨・筋肉・脂肪という事になります。身長が高いと骨量が多いのは確かです。筋肉の場合分裂しないので、筋肉量が多いということは、筋肉細胞数が多いのではなくて、筋繊維が太いという事を意味します。脂肪細胞に関しては3歳程度までに個人の総脂肪細胞数が決まり、その後はあまり増加しないと考えられています。脂肪の量が多いという事は脂肪細胞一個一個が貯蔵している脂肪量が多いという事になります。少しややこしい話になってしまいましたが、つまり体重を決めるのは、骨量・筋肉量・脂肪量という事になります。上皮がガン化する内臓と違って、骨・筋肉・脂肪組織はガン化する事は稀ですので、体重とガンとの関係はなさそうに思えます。実際はどうなのでしょうか?