腫瘍マーカー・腫瘍マーカー検査とは

腫瘍マーカー検査とは

がん検診や人間ドックで受けられる腫瘍マーカー検査。検査結果が正常範囲内でもがんがないという意味ではないので注意が必要です


がん検診や人間ドック・健康診断のオプションで、腫瘍マーカー検査を受けたことがある方も多いのではないでしょうか。検査結果を見て、「何だか良くわからないけど、高くないならがんはないということだよね」「特に低い数値ではないけれど、どこかにがんができかけているのだろうか……」と、感覚的に安心したり、不安になったりしていませんか?

確かに、腫瘍マーカーが高くないということは、良いニュースではありますが、それだけで全く安心というわけではありません。その逆も然りです。

今回は、意外に知られていない腫瘍マーカーの見方と活用法についてお話します。

 

腫瘍マーカーの種類・数値……「CEA」「CA19-9」「AFP」「PSA」とは

腫瘍マーカーって何?
健康診断で測定する代表的な腫瘍マーカーについておさらいしておきましょう。
腫瘍マーカーにもたくさんの種類がありますが、健康診断で測定されることが多いのは、CEA、CA19-9、AFPの3つです。また、男性では、PSAという項目が測定されることがあります。これらが何であるかを考えるときには、それぞれの用語をよく見てみるとわかります。

たとえば、AFPのPは、protein、つまり「タンパク質」の頭文字であり、CEAやCA19-9,PSAのAは、antigen、つまり「抗体」の頭文字です。これらはいずれも、がんが体の中にできたときに、反応性に生成されるタンパク質を指します。

■CEAやCA19-9
CEAやCA19-9は、主に胃がんや大腸がんなど消化器系のがんの時に、体内に生成されることが多い物質です。

■AFP
AFPは、主に肝臓がんの時に、体内に生成されることが多い物質です。

■PSA
PSAは前立腺がんの時に体内に生成されることが多い物質です。

健康診断で、万一これらの数値が高く出た場合は、体内にがん細胞がいることも考えて精密検査を行うことになります。ただし、高ければ必ずしもがんがあるというものでもありません。

CEAについては、喫煙者の場合はがんがなくても正常値を超えることがありますし、PSAも前立腺肥大の方では高くなる傾向がありますので、一概に高いから、必ずがんがあるとは限りません。また、数値の大小とがんの進行度も、基本的には相関する傾向はありますが、高いからといって必ず進行しているとは限りません。

いずれも、精密検査を行うかどうかの判断材料として用いられ、それらの結果をすべて総合的に判断することが必要です。

次に、腫瘍マーカーが正常範囲内での注意事項と、正しい腫瘍マーカーの活用法についてご説明します。
 

「腫瘍マーカーが範囲内で正常=がんがない」ではない

腫瘍マーカーが正常でも過信は禁物
がんが進行していても、腫瘍マーカーが正常範囲内として出る場合もあるので、過信は禁物です。
腫瘍マーカーのメカニズムから言うと、正常範囲内ということは、そのもとになるがん細胞がないからだ、という考え方になると思いますが、実際には、非常に進行したがんであっても、腫瘍マーカーは全く正常範囲内にあるということが少なくありません。

もしも気になる自覚症状が続いている場合には、腫瘍マーカーの結果だけを過信するのは禁物。「腫瘍マーカーが正常なのだから大丈夫だ」と自己判断して、病院受診や精密検査などを受けずに不調を放置してしまう状況だけは、何としても避けていただきたいものです。

また、消化器系のがんでは、便が黒くなったり、便に血が混じったりといった症状が出ますし、肝臓がんでは、疲れやすくなったり、顔色が黄色くなる黄疸などの症状が出ることがあります。男性の前立腺がんについては、尿の勢いがない、残尿感があるという排尿トラブルが出てくることがあります。

これらの典型的な自覚症状がある場合には、腫瘍マーカーの数値にかかわらず、必ず病院を受診して医師に相談することが重要です。
 

腫瘍マーカーの正しい使い方・活用法

腫瘍マーカーの正しい使い方
腫瘍マーカーは、一般的には、がんの術後の再発をモニタリングするときに、最も効果を発揮します。
数値が高くても大丈夫なこともあり、正常範囲内でも安心はなできない……。では、腫瘍マーカー検査にはどんな意味があるのでしょうか?

意外かも知れませんが、腫瘍マーカー検査が真の威力を発揮するのは、人間ドックや健康診断のオプション検査で用いられるときではありません。すでにがんが発見された患者さんに対して用いられるときに、最も意味を発揮します。治療前に腫瘍マーカーが高く、治療後に低くなった場合、治療後の経過観察中に再発がないかの指標としてチェックされます。

たとえば、胃がんの患者さんで、手術前にCEAが15.0あった方が、術後に3.2まで低下したケースでは、手術後の定期検査でCEAが再び上がっていないかどうかは、再発・転移の指標として非常に有力な情報になります。

ただし、腫瘍マーカーの数値と病状とが非常に敏感に相関する疾患もあります。その代表例が、前立腺がんにおけるPSAです。PSAは正常値上限である4.0を越える場合には、泌尿器科医への受診が推奨されています(前立腺癌診療ガイドライン2006年版)。もちろん、良性変化である前立腺腫大の場合にもある程度上がってきますので、一回の検査数値でどうこうする、というよりは、やはり、経過を見ていくことが重要です。

いずれにしても、上手に使うと、がんの根治にもっとも大切な、早期発見・早期治療が可能になる有効なツールが腫瘍マーカーとも言えます。今回解説させていただいた注意事項を念頭に置きながら、今一度、ご自身の検診結果を見直してみてはいかがでしょうか。

そして、体調が今ひとつ気になる方は、腫瘍マーカーの値にこだわらず、是非、お近くの医師の診察をお受け下さい。
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