幸い命の危険はありませんが、排便回数が非常に多いと外出も制限され、引きこもり的な生活の原因にもなってしまいますので、当人にとっては深刻です。速攻かつ根本的な治療は残念ながら見つかっていませんが、自分にあった生活習慣を見つけて対応していきましょう。
タイプ1:トイレが呼んでいる!
便秘もこまりますが、排便回数が多すぎるのもこまります! |
トイレに行って、やっと電車に乗ったものの、次の駅に着く前にまた腹痛。電車から降りてトイレに行って排便すると、どうにか痛みが治まりました。なんとか病院にたどり着いてやっと受診できました。
Aさんの症状は、過敏性腸症候群の下痢型に相当します。
□ 睡眠中は腹痛はない
□ 排便回数が多い
□ 排便後、直ぐに腹痛があり便意を覚える
タイプ2:ガスが止まらない!
Bさんは昔から便秘気味です。最近ますますひどくなっていて、たまにウサギの糞のような便通があります。もう一つの悩みがお腹にガスがたまって下腹が張った感じが取れないことです。お腹が張った感じがした時におならをすると楽になりますが、また直ぐにお腹が張ってきます。おならの音が他人に知れるかと思うと人前に出るのが億劫になります。市販薬をいろいろ試していますが、効果はさっぱりです。Bさんの症状は過敏性腸症候群の便秘型に相当します。
□ 便秘が続いている
□ 市販の便秘薬の効き目は悪い
□ 便通があるとウサギの糞のような感じ
□ お腹にガスがたまりがち
□ おならの回数が多い事が気になる
3種類の過敏性腸症候群
過敏性腸症候群では、さまざまなお腹の症状が続くことが特徴です。腸の検査では異常がありませんが、下痢型・便秘型・混合型に分けて説明されます。■ 全てに共通する症状
- 眠っている時は腹痛にはならない
- 体重の減少はない
- ストレスを感じると症状が強くなる
■ 下痢型の症状
- 排便回数が多い状態が続いている
- 腹痛があると便意を覚える
- 便通があると腹痛は収まる
■ 便秘型の症状
- 便秘が長期間継続している
- お腹にガスがたまりやすい状態が続いている
■ 混合型の症状
- 排便回数が多い時期と便秘の時期がある
受診すると検査を1通り薦められる事になります。検査の中で特に重要なのは、大腸の造影検査と内視検査です。
これらの検査で、憩室症(大腸粘膜が凹状態)、ポリープ(大腸粘膜が凸状態:良性・悪性の場合あり)、慢性炎症疾患(例:潰瘍性大腸炎・クローン病)などが見つかった場合は、過敏性腸症候群とはしません。しっかりとした手順での治療が必要です。
実は持続的な下痢・便秘を訴えて来院する人の1/3から1/2の人は、検査で異常が見つからず、過敏性腸症候群と診断されています。
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