古民家/古民家探訪

改築を重ね120年住み続けられた旧内田家住宅(2ページ目)

東京・練馬区に保存されている旧内田家住宅を見学してきました。明治時代に建築された茅葺き屋根の民家は一部に古材を再利用し、改築を重ねて生活の変化に対応してきた家でした。どんな住まいなのか、紹介しましょう。

大塚 有美

執筆者:大塚 有美

長く暮らせる家づくりガイド

生活に合わせて改築しながら120年

座敷

前座敷、下座敷、上座敷の3つの座敷はどれも10畳。座敷をぐるりと取り囲むように廊下が配置されています

旧内田家住宅の玄関を入ると左手に前座敷があり、下座敷へと続き、一番奥に上座敷が配置されています。上座敷のさらに奥にあるのは寝室や納戸。この部分が角屋(つのや)と呼ばれる部分です。残念ながら、寝室や納戸は見学できませんが、それ以外の部分は見学者に開放されていて自由に見学できます。ほかの見学者の邪魔にならなければ、畳の上で足を伸ばしてくつろぐこともできます。
いろり

板間になっている「いろり」。この部分は、解体直前には2つの和室になっていました

この住宅は明治時代に建築後、昭和、平成と時代を経て約120年の間に何度も改築を重ねています。現在、復元され、私たちが見学できるのは昭和の戦前の形。板間になった「いろり」は、2007(平成19)年の解体時には畳の部屋になっていたそうです。

色使いや細工にこだわって

床の間

青い壁が印象的だった床の間。この色を使っているのはここだけでした

旧内田家住宅を見学していて、特に印象に残っているのは上座敷の青い床の間です。正式な来客をもてなす部屋なので、立派な床の間があるのですが、その床の間の色使いがとても新鮮だったのです。

欧米では、部屋の一面だけを別の色にすることもあるようですが、明治時代に建てられた日本の家でも、すでに同じような手法がとられていたわけです。現代に生きる私たちより、明治時代の人のほうが柔軟で斬新な発想を持っていたと言えるかもしれません。

欄間

繊細な細工が美しい欄間。このモチーフは建具などにも使われていました

もうひとつ素敵だなあと思ったのは、欄間の細工です。

座敷と座敷をつなぐ建具を取り払うと、欄間に目がいきますが、ここに凝った細工を施してあるのです。光を通し、空間の連続性を感じさせる繊細な細工がとても素敵です。

住み続けるために改築を重ねた間取りの移り変わりの説明を受けながら、120年前の生活の様子を想像するのはなかなか楽しいひとときでした。

旧内田家住宅
(練馬区立池淵史跡公園内)
住所:東京都練馬区石神井町5-13
交通案内:西武池袋線 石神井公園駅より徒歩約15分、西武新宿線 上井草駅より徒歩約20分
公開時間:9時~18時
※隣接する練馬区立石神井公園ふるさと文化館の休館日(毎週月曜・月曜が祝休日のときは、その直後の祝休日でない日・年末年始・臨時休館日)は公開していません
見学:無料
駐車場:なし
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