旧朝倉家住宅があるのは、東京・渋谷区のなかでも、ファッションや飲食店などが建ち並ぶ代官山。人気スポットの一角に、こんな自然をいかした広大なお屋敷が残っていたとは!? という感じです。どんな家なのか、もう少し詳しく紹介しましょう。
地元の旧家が重要文化財に
朝倉家は現在の代官山あたりの大地主で、昭和の初期まで米穀商を営んでいました。この家は、朝倉虎治郎氏が大正8年に建てたもの。朝倉家はかの有名なヒルサイドテラスの事業主でもあります。
瓦屋根のどっしりとした木造二階建ての旧朝倉家住宅。築90年近い建物です |
敷地の特徴をいかした設計
旧朝倉家は、高低差の大きな地形を最大限に利用したつくりになっています。約1,640坪という広大な敷地は崖線になっており、南西に向かって傾斜した土地の北側に木造二階建ての主屋と土蔵、東側に車庫などが建っています。
建物は敷地北側の一番高いところに建っています。そのため、傾斜した庭や借景を楽しめるだけでなく、日当たりや開放感も格別です |
明るく日当たりのよい場所を生活の場に
玄関を入って左手には、来客を迎えるための12畳の和室があります。床の間付きの応接用の和室です。
さらに奥へ進むと、家族が日常使っていた3つの部屋が配置されています。10畳の仏間、12畳の中の間(居間)、10畳の寝間の3部屋で、現在は一続きの会議室に改造されていますが、日当たりがよく、庭にも出入りしやすい条件のよい場所です。大きなお屋敷ではありますが、この家の中でも明るくて、庭の緑を楽しめる空間を生活の場にあてていたようです。
次ページでは、私たちが家を建てるときにも気にしておきたいポイントについて見ていきましょう。