[写真協力] 森永エンジニアリング
温水パネルヒーターの特徴
パネルヒーターと呼ばれるものには、オイルパネルヒーターや遠赤外線パネルヒーター、電気パネルヒーターなど、家電量販店でみられる据え置き型の機器もありますが、ここで取り上げる温水パネルヒーター(暖房)は、ガスや電気、灯油などを熱源とし、設置したパネル形状の機器にお湯を流すことで部屋の空気を暖める、というもの。配管の接続は床下からの施工となるので、後付けでは設置できない場合もあり、主に新築やリフォーム時に合わせて検討する設備機器のひとつです。温水パネルヒーターの特徴は、輻射熱で部屋全体をムラなく暖めるということ。この点では、床暖房と同様の特徴があると言えるでしょう。輻射熱による暖房のメリットは、空気の流れによる不快さがないこと、ホコリを巻き上げないこと、空気を汚さないことなど。また、騒音もないので、静かな室内環境を確保することが可能です。デメリットとしては、輻射熱と自然対流で暖めるので、エアコンのようにすばやく室内を暖めることはできない、ということが挙げられるでしょう。
窓付近に設置し、室内を均一に暖め結露予防も
温水パネルヒーターは、床暖房と比べると、設置スペースが必要ですが、窓付近にプランニングすることが多いため、外からの冷気を抑え、室内を均一に効率よく暖房することが可能なことが特徴です。冬場、窓や壁面などで冷やされ重くなった室内の空気は、床に向かって流れます。窓辺の床がひんやりと感じたり、すきま風のように感じるこの空気の流れを「コールドドラフト」と呼び、室内の寒さを感じさせる要因のひとつです。対策としては、高性能の断熱サッシを用いることや厚手のカーテンを使用することなども挙げられますが、窓下にパネルヒーターを設置することで、パネルヒーターからの対流熱が「コールドドラフト」の発生を抑え、窓表面の温度が下がりすぎることを防ぐ効果も。室内を均一に暖めるとともに、結露の予防も可能でしょう。
製品によっては、部屋ごとに好みの室温に設定することもできますし、室内の変化に応じて自動的に温水流量を制御、常に設定した室温を保つことで、エネルギーロスを抑え暖房コストを削減するものも。また、パネル表面は、触れてもやけどなどの心配がないため、幼いお子さんや高齢の方がいらっしゃるご家庭でも安心でしょう。
スリムタイプやタオル掛けタイプも人気
温水パネルヒーターは、性能はもちろん、そのシンプルなデザイン性に魅力を感じる方も多いようです。メーカーから提案されている商品には、床置タイプや壁掛タイプ、壁掛・床置兼用タイプ、縦型タイプ、タオル掛けタイプなど、豊富に揃っているので、さまざまな空間に取り入れることもできるでしょう。縦型のスリムなタイプであれば、玄関ホールや廊下にも適していますし、リビングやダイニングなど空間の間仕切りとしても。小さなタイプであれば、トイレなどにもいいでしょう。洗面・脱衣室などにあると便利なタオル掛けタイプも注目されているようです。
簡単に取り入れられるタイプも
新築やリフォーム時だけでなく、後付けが可能な電気式のタイプも提案されています。温水パネルではありませんが、パイプの内部に封入されたオイルを電気ヒーターで加熱するタイプのタオルウォーマーなどには、100V仕様のプラグ付きのものもみられます。また、窓面からの冷気をシャットアウトでき、結露を抑える効果のある窓専用の電気式のヒーターもあります。本体に電気が流れると熱を発し、上昇気流が発生、窓際に暖気のカーテンをつくるような仕組みのため、窓際の極端な温度差も軽減し、結露防止に役立つというものです。
計画は早めに、メンテナンスの確認も
暖房計画を検討する際には、住まい全体の断熱性を高めえうえで、暮らし方や家族構成に合わせたプランニングをすることが大切です。イニシャルコストだけでなく、ランニングコストを検討することも重要ですし、お手入れ方法やメンテナンスなども確認しておきたいポイントでしょう。温水パネルヒーターは、普段のお手入れは乾いた布で表面を拭く程度で十分ですが、熱源器(灯油ボイラー・電気ボイラー・ガスボイラー等)は、専門業者(メーカー又は取付工事店等)による定期メンテナンスが大切。2~3年(できれば毎年、シーズン開始前)に1度、熱源機を含むシステム全体の保守メンテナンスを行う方がいいでしょう。
冷暖房や空調設備は、構造や間取り、スケジュールや予算にも大きく関わるもの。どのような製品を取り入れたいのか、出来るだけ早めに、施工を依頼している会社や設計担当者などとしっかりと相談することが大切です。
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