古民家/古民家の基礎知識

高温多湿‐夏向きの家 民家から学ぶ(1/3回)(2ページ目)

民家から学ぶ家づくりシリーズを3回にわたって解説していきます。1回目のテーマは「夏向きの家」。湿気の多い季節、どんな仕掛けがしてあるんでしょう。そして、そこから学ぶものとは?

佐川 旭

執筆者:佐川 旭

家を建てるガイド

~高温多湿-夏向きの家、ヒントは「開いた」家のつくり~   
■廊下と室内の上にらん間を設けて、風通りをよくしている。
                            (築120年位)
また、以前は地方によって、屋根の勾配や庇などが少しずつ違っていて、地方独特の特徴がありました。これに対して、現在の建物は軒の出が少なく、屋根の勾配にもあまり地域性がありません。季節により太陽の高さが変わるため、夏の日差しは約75度、冬は35度で差し込んできます。この角度は緯度によって変化してきますから、昔は地域毎に屋根の出を変えることで、屋内に差し込む光の量を調整していたのです。

また、軒下には縁側がついていました。これは夏の強い熱気を直接室内に入れないための緩衝帯になっていました。また冬場には日向となるスペースであり、寒さを凌ぐための貴重な空間にもなっていました。現在の家は、家の「内」と「外」がはっきりとしており、縁側のような緩衝帯はありません。

一見無駄な様に見えるこのような空間が、本当の意味で豊かなスペースなのです。

■1階は縁側。2階は廊下、障子、室内になっている。
                        (築120年位)



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