民家から学ぶ家づくり 【1】 ~高温多湿-夏向きの家、ヒントは「開いた」家のつくり~ 合掌造りで有名な飛騨白川郷。この合掌造りの2階から上の部分は蚕のための部屋です。ここに風を通すため、合掌造りでは常時吹く風の方向性にあわせ、地域毎に決まった方向に開口部が設けられています。昔ながらの民家というのは、少しでも「涼」を確保しようと、地域の風土をよく観察して建てられています。 かつての東京でも、夏は東京湾から南南東の風が吹き込んできていたのにあわせ、東西に長い建物が多く見られました。 日本は温帯モンスーン気候に位置しており、この気候特有の多湿をどう克服していくのかが家づくりのポイントでした。したがって、伝統的な日本家屋に共通して言えることは、「どのようにして風通しをよくしていくのか」という視点が盛り込まれており、その結果として外側に対して「開いた」構造になっているということです。現代の家づくりでは、南側に大きな開口部を設けることが多いのですが、北側には小さな窓を設けるぐらいしか開口部をとりません。これでは空気の流れはよくならず、風は通りません。さらに建物の表情も画一的になりがちです。家づくりとは空気の通り道をつくることとも言われるくらい、通風は大切なのです。 民家の大屋根の上についている越屋根や、建物の周囲の生垣、防風林などは、風の方向を変えたり、風から家を守るための工夫なのです。
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