館主・宮崎駿監督の想い
手の込んだ美しいステンドグラス。よく見るとトトロがデザインされています
ところでこどもの頃の想い出というのは、大人に連れて行かれた場所そのものの記憶より、「たまたま出会った不思議な虫」「走り回ったときに感じた風の心地よさ」「迷子になった時に偶然見つけたキレイなもの」そういうことの方が印象に残っていませんか? 館主の宮崎駿監督はジブリ美術館に来たこども達が、こどもらしい発見や楽しさ、心に残るものをたくさん持って帰り、その先にアニメーションへの新たな見方が生まれてくれれば……と考えています。大人はことあるごとに「この展示が意図するところは?」などと考えてしまいがちですが、「ステンドグラスの光ってなんだかキレイ!」ジブリ美術館ではそれが感じられればOKなのです。
このような想いの下つくられているジブリ美術館には、大人が決める順路、厳重にガードされている展示物、保存のため光や風をシャットアウトするといったことがありません。順路なし、地下1階~地上2階~屋上まで気ままに迷子になれる美術館をご紹介しましょう。
『動きはじめの部屋』
中央ホールは地下から地上2階までの吹き抜け
入り口から階段を下り、吹き抜けが気持ちいい中央ホールの隣にあるのが『動きはじめの部屋』。「この世の中にあるものはみんな動いています。空気も雲も、動物も、木や草だって大陸だって動いています。絵が動いたらいいのにと、人はずっと考えていました」そんな、アニメーション誕生の原点をやさしく解説した宮崎監督の言葉から始まるこの部屋では、目の錯覚や光を利用して、どのようにアニメーションが進化したのかを知ることができます。
少しずつ形の違う小さな人形達が、円盤の上で輪を作るように並んでいる『トトロぴょんぴょん』は、円盤が回り、仕掛けが動き出すと、人形達がまるで生きて動いているように見える展示。その動きは驚くほど滑らかで、ずっと見ていたい気分に……。難しい説明はなく、「アニメってすごい!」と素直に感動できる部屋です。
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