Flashとの関係
しかし、ここまで読んできて「でも、Flashでもできるんじゃないの?」と感 じる人も多いはずです。そうです、実は、これらのようなことは、Flashでもで きるのです。Flashに使われているActionScriptはJavaScriptと同じECMAScriptに準拠する 兄弟ですから、JavaScriptでできることの大半は同じように、あるいは、 それ以上にできるのです。
それをあえて、JavaScriptで実装するなら、クロスブラウザ化という地獄のハー ドルが待ち受けています。。。
つまり、たとえば、Google MapsのようなWebアプリに、Ajax的な実装を行うコ ストが、決して低いものではないことは誰の目にも明らかなのです。
ところが、この「誰の目にも明らかな常識」に従い、多くの人が放棄していた 事柄をGoogleはあえて採用しました。
その採用理由は知りえません。しかし、結果としてGoogleは、おそらくFlashを採 用した場合には得られなかったと思われる性能と名声を手に入れました。
そして、「誰の目にも明らかだったはずの常識」もまた「Ajax」という言葉 (というより概念の提示?)によって今、徐々に反転しつつあるように思えます。
そう、最近、私たちは、急激に複雑になりつつあるWeb技術を前にして、本当 はできるかもしれないことについてまで、最初からあきらめてしまっていたの かもしれません。
Flashの良さは充分に認めるにしても、本来は、ブラウザネイティ ブに実装されたJavaScriptは、プラグインであるFlashよりも起動が早く、Macで もさくさく動き、無料のテキストエディタで手軽に作れて、デフォルトのままで ユーザーが使い慣れたブラウザのインターフェイスを生かすことができるという 特徴も持っています。
それを放棄してきた理由の大半は、主に作る側の都合であって、ユーザーの都 合ではないのです。
Jesse James Garrettは、コラムの最後をこう締めくくっています。
Ajax アプリケーションを創造することにおけるもっとも大きな挑戦は、 技術的なものではない。Ajax の核となる技術は成熟・安定しているし、よく知 られたものだ。むしろ、そのチャレンジはそれらアプリケーションのデザイナに とってのものである。Web の限界について我々が知っていると思っていることを 忘れ去ること。そして、もっと広く、豊かな可能性に思いを馳せること。
それはきっと楽しいことだろう。 『Ajax: A New Approach to Web Applications』[*5]
それはきっと楽しいことだろう。 『Ajax: A New Approach to Web Applications』[*5]
AjaxなWebアプリが見せてくれているものは、DHTMLが登場したときの期待、そ して、JavaScriptが生まれた当初に感じさせてくれた期待に近いものを感じます。
しかし、旧式ブラウザの大半が存在しなくなった現在、クロスブラウザのハー ドルはDHTMLの時代よりは低くなっているかもしれませんが、無くなったわけで はありません。
道具は、今まで通り、何も変わらずに、そこにあるのです。
何が新しいのか?何が変わったのか?どこがメリットなのか?すべての答えは、 これから生まれてくる、あなたが作るかもしれないWebアプリの中にあるのです。
前ページ
*次回は、具体的に、Ajaxのサンプルを紹介します。 次回