生命保険/生命保険アーカイブ

自己破産と生命保険~解約が必須ではなくなる?介入権

自己破産をするとき、これまでは解約返戻金などが20万円を超える生命保険は解約し、金融資産として破産財団に納めなくてはいけませんでした。ですが、再加入の難しい高齢者やすでに疾患を抱えた人にとっては大きなデメリット。医療費や生活費の補填がなくなります。この点が2010年4月1日より施行される保険法により、改善できる道もできそうですが、課題も残りそうです。

横山 光昭

執筆者:横山 光昭

お金を貯める体質改善ノートガイド

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保険法が改定されます

自己破産するときは、生命保険は必ずしも解約しなくてもいい制度ができました。保険金受取人などの協力が必要です。

自己破産するときは、生命保険は必ずしも解約しなくてもいい制度ができました。保険金受取人などの協力が必要です。

2010年4月1日より、100年ぶりに改定された保険法が施行されます。今までは商法の「保険契約に関する規定」として存在していたのですが、保険契約者など加入者を保護する視点を強くして新しく独立した形となる「保険法」は、経済的に破綻してしまった人を守る方法が盛り込まれています。
この保険法では、保険契約者などの保護のための規定、保険受取人変更に関する規定、モラルリスク防止のための規定(保険の悪用を防ぐ規定)などが整備されたり、新設されたりしています。今までよりも健全に保険を利用できるように整えられているのですが、中でも注目したいのが、「介入権」の新設です。


今までの生命保険における自己破産時の問題は…

生命保険は金融資産に分類されます。自己破産をするときは、最低限の生活を保障する意味で20万円までの預貯金を含めた金融資産を持っていることは認められていました。ですから、預貯金と生命保険の解約返戻金をあわせ20万円以内になるようでしたら、その生命保険は継続することができました。
問題なのは、高齢者や健康的に問題があり再契約が難しい人や、再契約できても掛け金が高額になってしまい結果的に加入が難しくなるというケースです。万が一に備えて保険は加入しておきたいが…という気持ちとは別に、実現できないことで、保険契約者(保険を契約しお金を払う人)はもとより、被保険者(保険にかかっている人)や保険金受取人など、その保険を実際に使う人の生活の不安が一層ましてしまいます。
保険契約者と被保険者は同じ場合も、違う場合もあります。それによっても、不安の度合いは異なってくるでしょう。

たとえば、生計の中心となっている夫の万が一のときの生活の備えとして契約していた保険を、破産により解約せざるを得ず、再び契約することが難しければ、残される家族への保険による生活費の保障がなくなってしまう。または、病気がちな子供を保険に入れていたのに、保険契約者が破産することでその保険を解約しなくてはいけなくなり、その後病気が理由で新しい保険に入れず、高額な医療費の負担を負わなくてはいけなくなる…などです。
そこを考慮し改善を図ったのが、新設された「介入権」なのです。

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