日本画/日本画関連情報

JSP-Portrait-林孝二

・・・京都と東京で日本画を学び、その予想以上の差異に愕然とした覚えがあります。京都で団体展に見切りをつけ尖を立ち上げ、今回初の東京展を開催します。改めてその差異を認識するよい機会だと思っています。

執筆者:松原 洋一

HAYASHI KOJI

林孝二
1960年 尼崎に生まれる
1984年 京都精華大学日本画コース卒業
1986年 多摩美術大学大学院日本画専攻修了→詳しい経歴

私は京都府の南部、京都、大阪、奈良の府境辺り、京阪奈丘陵の一角に一歳の時から住んでいます。 東京に行った時など「どちらにお住まいですか?」と聞かれ「京都です。」と答えると「まあ、京都から…」などと言われますが、 私の住んでいるのは京都府であって皆のイメージしている京都、ではないのです。小一時間かけて京都市の中心に着くと 今でも「京都に来た。」と思います。

All About で興味のあるテーマ:【50代からの生活】

◇制作の視点

その時々に興味を惹かれたものを描いています。10年位前までは和洋折衷の建物が面白くよく描いていました。その建物が小屋やビニールハウスの残骸に移り変わり、やがてそれにまとわりつく蔓性の植物が中心になって来ました。それから大樹とそれに絡む蔓の争いを描いたのがきっかけとなり、大きな樹そのものを描く事が多くなりました。

ただ、蔓性のモチーフもまだ描いています。そういう流れの中で取り壊されそうな建物を描いたり古い乗り物に興味を惹かれ描いた事もあります。これらは主に大作ですが、ついモノトーン調に傾いてしまいます。それへの反動もあると思いますが、並行して野に咲く花も小品で描く事が多いです。

身近な子供の頃から馴染んでいるものに惹かれます。50歳を前にして刻の過ぎる速さを感じます。大樹の存在感の大きさ、可憐な野の花の儚さ、美しさが心に染みます。絵を描きながら日を送れる事に幸せを感じる日々です。
◇作品について

掲載作品は、今年4月末に京都市美術館で開催した尖展に出品した作品です。自宅近くを流れる木津川の河畔で1ヶ月スケッチをしました。河面にせり出す丸葉の柳。流れが足元を抉り、枝を持ち去る。12月の河風がすべての葉を吹き飛ばす。裸木の姿は子供の頃から好きで見飽きません。河は流れそれを背に佇む姿、風に揺れる枝…、ただそれを描き留め残すだけで私の役割は充分なのだと思いました。

「河樹」259×582cm
◇日本画グループ<尖>初の東京展について

京都の大学で日本画を4年間学び、その後東京の大学院で2年間学びました。日本美術には京都と東京を中心に大きな流れが二つあると思いますが、学生時代、その予想以上の差異に愕然とした覚えがあります。大学院を出て京都に戻り7~8年後に団体展に見切りをつけ尖を立ち上げました。それから13年、今回初の東京展になります。改めてその差異を認識するよい機会だと思っています。そして今後の制作の糧になればよいと考えています。

■展覧会情報
展覧会名:尖 東京展 京都の呼吸力→関連記事
会期:2007年9月11日(火)~9月21日(金)
会場:佐藤美術館



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