日本画/日本画関連情報

JSP-Portrait-阿部友子

・・・「生きて存在する、何かを残そうとする事が絶対的に美しくてイイコト」

執筆者:松原 洋一

ABE YUKO

阿部友子
1980年 京都市上京区生まれ
2003年 京都市立芸術大学美術学部美術科卒業→詳しい経歴

京都の実家を離れ、実家から小一時間離れた場所に一人暮らししています。今更こんな歳に、当たり前に過ごしてきた時間や場所や家族との想い出・・・私を育んで守ってくれた環境を恋おしく、有り難く思います。そんなことで、最近実家の近所を(近所のオバちゃんに見つからないようにこっそり)ウロウロ散策するのがしみじみと楽しいです☆    

All About で興味のあるサイト:【ガーデニング】

◇制作の視点

花は植物の生殖器官で、あの色も香りも、形も・・・どんな環境にも適応して生き残れる、優秀な種を残すための手段です。ただ本能に正直に・・・ワガママに生きているんですよね。咲いても散って・・・一見儚いけど、またシッカリ咲いて・・・そんな尽きない命の輪もなんだか不思議で力づよくて、花も人もすべて・・・みんな1つだなあ、と思います。生きて存在する、何かを残そうとする事が絶対的に美しくてイイコト。そう思わせてくれます。

そんなことで、出来れば花が自然に咲くように・・・本能に近い状態で、余計なものを何も持たずに絵を描きたいと思います。ニンゲンなので捨てるべきなのに捨てれない重いものを背負ったり、他人と比較して惨めになったりで、煩悩や自己矛盾に囚われる事がしょっちゅうです。だからこそ私の目にいっそう花が美しく見えるのかもしれません。 自己と向き合い、その時々のいろんな思いを花に託して昇華できれば、それもとてもハッピィな事だと思います。

それと・・・例えば、桜を観て美しい嬉しい・・・と思うと同時に年々懐かしいような、泣きだしたくなるような気持ちになるのは経験的だからでしょうか。日本人だから??花に対する思いは、経験的なもの以上に遺伝子の中に記憶されているような不思議な気がします。祝福したり、愛を伝えたり、慰めたり、弔ったり・・・。花には時代も民族も文化も超えて、受け継がれてきたイメージや、メッセージ、気持ちがギュウギュウに詰まっているように感じて、いっそう愛しく、可愛らしく思えます。そんな事をチョット考えたりながら・・・大切な人に贈るような気持ちで描いていきたいとも思います。
◇掲載作品「束縛」について

小さい頃から見慣れていた立派な白木蓮の前に、冬、新しくフェンスが設置され、私にはまるで囚われてしまったように思えました。それでも春、いっせいに咲く花々はハッとするくらい美しく、フェンスの存在も消し去っちゃうくらいキラキラ白く輝いて見えました。今までもキレイだったから、いつか取材しよう・・・と思っていたこの白木蓮でしたが、フェンスに阻まれたことによって私には余計に美しく感じ、描きたい・・・と強く思いました。

白木蓮の花は私の過去・現在、そして希望の未来の姿です。そしてフェンスも私です。「束縛」は外的なものより、自分の臆病や弱さ、甘さ。どこかで「ずっと囚われていたい」って思う居心地のいい逃げ場所です。そこから目指すところに向かって、そろそろ自分を解放させ前に進みたい・・・「咲かせよう!」というのがこの絵のテーマです。

「束縛」
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