■日本画を感じる-その1【花】 花から広がる日本画の世界
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移りゆく季節のなかで、いろいろな花がその時々の姿を見せてくれます。春になれば 春の花、夏がきたら夏の花、そんな何気ない植物との出会いを感じることも日本画的な ものの見方なのです。
「皆さんの見ている花も、絵描きが見ている花も、咲いている季節は同じです。 春になれば梅が咲き、桜が咲き、夏には朝顔、向日葵、秋はコスモス、冬は山茶花。 四季折々の草花を見て、その中の一輪に一期一会を感じることはないでしょうか。 皆さんが花屋さんでお気に入りの花を買い求め、部屋に飾るように、 僕はスケッチブックの上に花を描きます。~高島圭史 コメントより」
■日本画を感じる-その2【鳥】 鳥とボロボロ靴のコラボレーション
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マンホールのフタに彫られた無機質な鳥も、生活感あふれるボロボロな靴との出会い によって豊かな表情を見せるようになります。いつも見慣れた日常の光景も、視点を 移せば違う世界が見えてきて、自分だけの唯一のシーンが現れます。
「このホーキンスの靴には靴ひもがない。洗うときに紐をとって、面倒くさくてそのままだ。 かかとは踏んづけちゃってるし、ペンキも付いててボロボロ。 だけど釣りに行くときも、単車に乗るときにも、仕事中にも、いつも履いてる。 ある日、散歩の途中ふと目を留めたマンホールとの色の調和にシャッターを押した。 ボロボロな靴が主役になったそんな日。~竹林柚宇子 コメントより 」
■日本画を感じる-その3【風】 「たたずまい」こそが美しい
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緊張感を持った「たたずまい」の美しさ。その空気感は、日本古来の様式美にも通 じ、風情が感じられます。自然体でいて、なぜか気になる、そんな女性の美しさにも 共通のものがあるようです。
「ジムのトレーニングの合間、バレエのレッスンを眺める。格好も独特でかわいいけど、 緊張感のある姿勢が美しい。これって上村松園の描いた代表作「序の舞」に通ずる美しさだ。 美人にも時代性はあるけれど、大切なのは姿勢。背筋の通った姿勢は美しいシルエットを生み、 とりまく間をも引き連れて、見るものを魅了する。~林克彦 コメントより」
■日本画を感じる-その4【月】 時代を超えて-不変の月と景色
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変わることのない月を取りまく環境は、日々変化し続けています。かつては大自然の 中にあったはずの月も、今では高層ビルとのコントラストに映えて、都会の夜景を 彩っています。
「月は古来から、はかなさ・普遍的な美しさの象徴であり、日本画も共通する所があります。 そしてそのとらえ方は日本人の心であったりもします。町の姿が変わっても変わらない月、 もう一度夜空を見上げて眠っている日本人の心を思いだし自分だけの一枚を切り取っ てみてはいかかでしょうか。~志田展哉 コメントより」
■日本画を感じる-その5【雪】 崩れるからこそ美しい
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形あるものはいずれ壊れ、やがて消え去ります。しかし、確かに存在したという記憶 は残ります。その記憶をとどめ、純化させていくには、散り際の潔さも必要です 。
「散るからこそ日本人は桜を愛する。移り変わるものの一瞬を慈しむ美意識が何より日本画的なものかもしれません。粉雪は胡粉でしか描けないと思う。触れれば解ける粉雪の繊細さは貝殻から出来た胡粉の優しさに親和します。触れば解ける美しいものをとどめる手だてが私にとっての日本画なのだと思います。~及川聡子 コメントより」
■日本画を感じる-その6【旅】 記憶に残る旅をする
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旅に出れば、写真を撮ったり、流木を拾ったり、ツルに付いたままの実を集めたり …。普段とは違うさまざまな出会いがあります。その時々の記憶に残るのもを探す 旅。それもまた日本画家的な見方の一つなのです。
「ふと、気になるもの。好きな形、感触、質感… モノにはさまざまな要素がありますが、自分が好きな「感じ」は何か。私は旅行や街を散策するときは、一眼レフカメラを持っていきます。デジカメじゃダメなんです。記録に残すのではなく、記憶に残るようなモノを探すことに意味があります。そして、写真集を作ります。たくさんの写真の中から厳選していくと自分の視点がはっきりとわかり、旅の想い出にもなって楽しいです。~熊川みのり コメントより」
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