■6回目の正直の宇江佐真理、新境地を開いた村山由佳。個人的にはイチオシは、伊坂幸太郎だが・・・・・・
さて、「○回めの正直」ということで言えば、もし受賞したら、「6回目の正直」となるのが、宇江佐真理。第117回に『幻の声』が候補に上がったのを皮切りに、第119回『桜花を見た』、第121回『紫紺のつばめ』、第123回『雷桜』、第127回『斬られ権左』と、候補の常連の感あり。もし、彼女が受賞すると、6回目の正直ということになる。
今回の候補作『神田堀八つ下がり』は、江戸庶民の哀歓を描いた佳作であるが、これも、個人的には、髪結い『幻の声』『紫紺のつばめ』の「髪結い伊左次」シリーズの方が、この著者にしか出さない端正な色気があって好きなのだが。
とても好きな作家の一人で、ぜひ今回こそ!とも思うのだが、言葉は悪いが、受賞という点のみに関して言うなら、「賞味期限切れ」かも。
村山由佳の『星々の舟』は、ジュビナイルのイメージが強かった彼女が、新境地を開いた作品。禁断の恋、世代それぞれの葛藤など、愛と家族をテーマに、書きたかったことを描ききった感のある作品である。もし、彼女が賞を取るなら、この作品なら、ご本人も本望というところなのではないか。
最後に、『重力ピエロ』。伊坂幸太郎。帯の北上次郎の賛辞でミーハー買いしたのだが、読み始めてすぐ、マイ・フェバレイトな作家の一人になった。ミステリーとしてはさほど緻密でもないが、文体がいい。奇を衒うわけでもなく、流行におもねるわけでもなく、それでいて、しっかりとした骨格と独特のテイストがある。スタイルのある作家である。賞、とれればいいけど、ちょっと時期が早いかな。
で、私の予想としては、
●本命●東野啓吾
●対抗●村山由佳
●大穴●伊坂幸太郎
というところなのだが、当たらないだろうな~。自慢じゃないが、今まで、当たったためしがない。
ガチンコだった、第120回の宮部みゆきの回も、久世光彦だと思っていたもの・・・・・・。ってことは、今回もこれ以外の人?
みなさんの予想はいかに?
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