男のこだわりグッズ/手帳・ノート

何より自由に使える器としての文具王手帳

文具王高畑正幸氏が、既存の手帳の不満点をどうにかすべく、自分の使いやすさに特化してオーダーした手帳が市販されることになりました。それは、使う人の自由なアイディアを受け止めてくれる手帳です。

納富 廉邦

執筆者:納富 廉邦

男のこだわりグッズガイド

あなたは手帳に何を求めるのか


スーパークラシック「文具王手帳」18,900円(税込)

何度もこのガイド記事で書いているように、手帳は個人の行動と情報を管理するツールだから、手帳に対して意識的になればなるほど、どんな手帳を使っても一長一短というか、どこか不満が残るものです。二冊使いや、パソコンとの併用、システム手帳のリフィルの自作などなど、いわゆるカスタマイズやハック的な利用法も、市販の手帳そのままでは満足出来ないというか、自分にぴったりとは言えないからこそ生まれるものでしょう。

だから、私たちは少しでも自分に合った手帳を探して、それをさらに自分なりの工夫でカスタマイズして使っているわけです。それはもう手帳というものはそういうもので、それをどうにかしたかったら、オーダーメイドか考え方を変えるかしかないのです。よくある、有名人手帳や開運手帳、自己啓発型手帳は、そんな手帳というツールの曖昧さを、「こんな風に使う」と用途と効果を限定する事で、使う側が手帳に合わせやすいエクスキューズを提供しているわけです。


牛革に撥水加工を施したカバーは片面がジョッター、もう片面がベルクロ張りになっている

一方で、この「文具王手帳」は、純粋に機能を自分の使用方法に合わせたいと考えた文具王こと高畑正幸氏が、自分のためにオーダーメイドしたものを、実際に製作を担当したスーパークラシックが、「この手帳は面白い」と製品化したものです。つまり、いわゆる××さんプロデュースとか、××さん考案、といったタイプとは全く違うのです。何よりの違いは、純粋に文具王が自分のために作ったものだということ。「こんな風にしたら便利なんじゃない?」とか、「こういう機能が必要だよね」といった、何か偉い人が「誰かのために」作った手帳ではないという事です。だから、押しつけがましさがなく、好きに使えるところが、この手帳の嬉しいところだと思うのです。

システム手帳+超整理手帳+αが基本スタイル


開くと、中は上が空いた変則的なバイブルサイズのバインダーになっている。リフィルは付属しないので自分で好きなモノを入れよう。

この「文具王手帳」の最大の特徴は、バイブルサイズのシステ ム手帳用のバインダーでありつつ、四つ折りにしたA4用紙が収納出来るという事です。実際、ガイド納富は文具王が持っているバイブルサイズのシステム手帳からA4用紙がはみ出しているのを何度か目撃した事があります。それをどうにかしたい、というのが、手帳のオーダーメイドに踏み切った最初の動機だったようです。もう、それが実現しているだけでも、かなりの手帳好きは喜んだと思うのです。少なくともガイド納富は大喜びです。


カンガルーホルダが付いていて、A4四つ折りの用紙を持ち歩く事が出来る

既に膨大な種類のリフィルがあり、システムとしても完成されているバイブルサイズのシステム手帳と、そのバインダーというスタイルに対してのアンチから始まったような、A4用紙四つ折りを基本スタイルにした「超整理手帳」は、その出発点を考えると、それらが一つになるというのは考えられない事でした。A4用紙を入れたければA5サイズのシステム手帳を使えばよいと、システム手帳サイドは考えるだろうし、紙を差し込んで使う良さに馴染んでしまうと、今更バインダーというシステムに良さを見出さないでしょう。

でも、使う側の立場からすれば、リフィル交換が容易で種類も豊富で、並べ替えなどの管理も可能なシステム手帳の便利さと、日常的に使う「汎用アナログデータ」としてのA4用紙は、どちらも同じように便利で必要なもの。なのに、その両方をコンパクトに持ち歩ける手帳が無いことの方が不思議というものです。バイブルサイズのバインダーに、超整理手帳のカンガルーホルダが追加されるというのは、文具王のオーダーという形で初めて実現したスタイルですが、これは手帳の世界でもかなりエポックメイキングなことだと、ガイド納富は受け取っています。手帳のリフィルサイズと、そのカバーのサイズは決して同じでなくても構わない、という前例にもなるからです。

使いたい機能の搭載は「手帳術」とは遠い発想


表紙はA4四つ折り、またはバイブルサイズのリフィルを差し込んでジョッターとして使える仕組み。

文具王手帳の「手帳」としての主な機能は、上記のバイブルサイズ+カンガルーホルダという部分と、表紙の片方がジョッターになっていることの二つ。このジョッター部分も、A4四つ折り、またはバイブルサイズのリフィルが使えるという徹底ぶりが感動的ですが、さらに名刺の横幅がジャストサイズで、貰った名刺の一時退避場所としても使えます。

例えば、このジョッター機能が、ガイド納富にはたまらなく便利なんですが、文具王が想定した使い方とガイド納富の使い方は異なっています。文具王は、このジョッター部分を「起動時間ゼロのメモ帳」として利用されていますが、ガイド納富はあらかじめ書いておいた備忘録を挟む場所として重宝しています。その日に行く予定の映画の上映時間、買い物メモ、当面の〆切といったことを書いた紙を、この文具王手帳の表紙に挟んでいるわけです。細長くてカバンから取り出しやすい、また、後述するように、ストラップを付けて首や肩から下げられる、そんな文具王手帳だからこそ、チェック用のメモを入れておくと便利なのです。

このジョッターの使い方一つでも分かるように、文具王手帳は沢山の機能を内包していながら、それらについて、「これはこう使うためのもの」という定義を曖昧にしています。これは、文具王本人が、元々道具をフレキシブルに使う方だから、ということもあるのですが、それ以前に、この手帳は「文具王が自分のために作った」手帳で、だから、当たり前ですが、文具王の個人的な便利のために機能があり、使う側は、それとは関係なく、機能を自分に引き寄せて使う必要があるということです。


カンガルーホルダの最終ページと、カバーの内側、計四ヶ所のカードホルダを用意。二列に並べる事で一部分だけに厚みが出ないように配慮されている。

それは、考えれば当たり前の事ですが、いわゆる有名人手帳や有名人プロデュース手帳、自己啓発型手帳などではあり得ない仕様ですから、それを不親切と捉える人もいるかも知れません。でも、手帳は基本的にパーソナルなものだということを身にしみて知っている文具王が作った手帳なのだから、それを使う私たちは「おお、この機能は、こんな風に使うと自分にとって便利だ」と考える事が大事で、それが面倒な人は、そもそも、「システム手帳」というスタイルが合わない人だと思うのです。そして、これも当たり前の話ですが、いわゆる「手帳術」は、ヒントにはなっても、真似する事は出来ないものです(もし真似出来る手帳術があるなら、それは、汎用的過ぎて効果は薄いものでしょう)。


小銭からUSBメモリまで入るスナップポケットや、紙幣、チケットなどが入るオープンポケットも用意されている。

例えば、この文具王手帳は、開いた左側に大きめのオープンポケットが、左上にはコインケースにもなるスナップポケットがあり、右側にはカード入れも搭載されています。オープンポケットにお札を入れれば、普通に財布として使う事も出来る設計になっています。しかも、コインケース部分は、バイブルサイズとA4サイズのサイズ差から生まれるデッドスペースを利用したもので、「薄い財布」を作ったスーパークラシックならではの工夫と技術が光る箇所でもあります。右側のカードケースは要らないのでは?と聞いたら、「財布としても使いたいから」と文具王は答えてくれました。実際、財布として使うと、これがまた、良く出来ているので使いやすいのです。ただ、ガイド納富は財布としては使いません。オープンポケットにはライブのチケット類を、スナップポケットにはUSBメモリを入れています。それぞれの手帳術です(笑)。

次のページでは、もう片面のベルクロやオプションのストラップなども紹介します

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