iPadは手に持って使わなければならないのか
バード電子「DELTA4」4,620円(税込) サイズは115×180×110mm、325g。材質はスチール。 |
ケースは持ち歩く際に重要なグッズだけれど、まだ、このケースに入れたら手に持っての作業が格段にやりやす くなる、といったものは出てきていません。だからこそ、意外に重いとか、読書するには向かないといった意見も聞こえてくるわけです。ただ、かつて本も重かったわけで、また、重くなくても長時間持ってたら疲れるわけで、だからこそ書見台というものが生まれました。同じように、iPadを立てて、手で持たずに使うためのスタンドが登場するのも当然の成り行きでしょう。Apple純正のiPadケースが、スタンドにもなる機能を備えていたのも、iPadは立てて使うと便利だよ、という使い方のヒントだからです。
iPadを縦にも横にも立てられる他、ノートパソコンの台にもなる。デルタ構造のスチールスタンドだから強度が高い。セルスポンジ付きでiPadに傷がつく事もない。 |
しかし、意外にiPad用スタンドは製品としてはまだあまり多くは発売されていません。海外のメーカーでは二、三見かけるのですが、国産では、バード電子のものが目立っている程度です。しかし、そのバード電子のスタンドは、現時点で3種類が発売され、さらに4つ目も開発中と、世界でも珍しい iPadスタンドに注力したメーカーになっています。それは、iPadが「置いて使う」と便利なツールだという認識から生まれたもので、その認識は間違っ ていないと、ガイド納富は考えています。実際、パソコンの横にiPadを立てて使うのは、とっても便利だからです。
バード電子「FLOAT1」6,800円(税込) サイズは200×250×150mm、430g。アクリル製。ハンドメイド。 |
iPadにはフォトフレーム機能が付いています。それは立てて使う事が前提になっていてこその機能です。ビデオを見る機能も、スライドショーを見 る機能も、場合によってはWebを見る場合も、Twitterを見る場合も、スタンドに立てると、それはそれは便利なのです。見て、指先でスクリーンに触 れるだけで次の展開になって、それを眺めていれば、パソコン上で行っていた事の大部分が済んでしまいます。もっと本格的に弄りたくなったら、手を伸ばして、iPadを掴めばOKです。バード電子のスタンド3種類は、どれもiPadを立てたまま充電する事も可能ですから、実質、延々と、ネット端末として、フォトフレームとして、本として、ビデオ再生機として、音楽プレイヤーとして、Twitterクライアントとして、地図として使えます。手も疲れません。
キーボードと組み合わせて使うのに最適。まるでiPadが浮いているように見えるのが特徴。スタンドの下部にアップルのワイヤレスキーボードを収納する事も出来る。縦位置、横位置の両対応だ。 |
バード電子のスタンドはどれも、iPadを縦にも横にも置く事が出来ます。その上で、それぞれに個性があります。スチール製のしっかりした構造でノートパソコンも立てられる「DELTA4」、キーボードと組み合わせて使うと便利で美しい、まるでiPadが浮いているように見えるアクリル製の「FLOAT1」、iPadを見る位置、使う位置の二つの角度で固定出来る上に、コンパクトで狭い机の上でも使えるアクリル製の「TILT2」。この三つのスタンドの個性を見れば、iPadが机の上ではどのように使われるのか、そのパターンが解るような気がします。そのくらい、これらのスタンドは、ユーザーがどう使うかを考えて作られていると思うのです。
スタンドと組み合わせたiPadは大きなiPhoneではなくなる
バード電子「TILT2」3,980円(税込) サイズは200×160×50(min10)mm、130g。アクリル製、ハンドメイド。 |
例えば、バード電子の「FLOAT1」は、iPadにキーボードを繋いで使う際に、とても入力しやすい角度にiPadをキープしてくれます。充電しながらはもちろん、Appleの「フォトコネクションキット」を介して、USB接続のキーボードを繋いで使う際も、最適なポジションでキーボード入力が可能なのです(フォトコネクションキットのUSB接続によるキーボードの接続は、対応しないキーボードもあるし、一部キートップの刻印と入力される文字が違う場合があります。あくまでもイレギュラーな使い方なのでご注意ください)。こうして使っていると、画面の角度が絶妙で、ノートパソコン以上に入力が快適に感じられます(iPhoneより多少はましになったとは云え、漢字変換の能力は相変わらず低いのですが)。デスクトップパソコンとノートパソコンの中間といった感じのツールに変身するわけです。
キーボード入力や外付けキーボード入力時に便利なポジション。もちろん縦位置、横位置の両対応。 |
「TILT2」の場合は、場所を取らないので普段は机の隅に置いておいて、iPadを立てて使いたい時や、本格的に文字入力したい時にiPadをポンと置くといったカジュアルな使い方が似合います。これも使ってみると分かるのですが、手に持って使う時と、スタンドに置いて使う時では、iPadの役割が変わるのです。パソコンのキーボードの脇にiPadが立っていると、そこはパソコンのモニタの一部のような感じになるのです。パソコン上で仕事をしていて、ふと横を見るとTwitterの画面が表示されている、とか、仕事上の資料になるPDFやWebページをiPadで表示して、それを見ながらパソコンで作業する、といった使い方は中々快適です。そして必要な時にはiPadを手に持って利用します。その感覚は、パソコンのモニタの中に手を突っ込んで、内容を取り出して使う、といったイメージ。それは、iPadとスタンドの組み合わせで初めて実感出来るものでした。
主に画面を見る時には、このポジション。60度の角度は、画面を操作する事も可能な絶妙な角度だ。 |
このような、生活とパソコン、仕事とパソコンの間を埋めるようなツールは、多分、iPadが初めてのように思うのです。少なくとも、生活をデジタ ルに繋ぐiPhoneとは、全く別の、もっとアナログ寄りの体験です。電子書籍リーダーとして期待されるのも、そんなiPadのアナログ的な使い心地から来 ているのかも知れません。だからこそ、書見台のような懐かしいツールがiPadで復活するのでしょう。iPadをアナログ的に使いたいなら、スタンドは必須かも知れません。