チボリオーディオが示すカジュアルオーディオの方向
チボリ・オーディオ「iPAL」 |
チボリオーディオは、小型高音質のスピーカーの元祖とも言える「AR-1」というブックシェルフ型スピーカーを設計した、スピーカー造りの神様、ヘンリー・クロス氏のノウハウと技術を形にするメーカー。以前、このガイド記事で紹介した、チボリ・オーディオの「Model One Radio」は、その一つの到達点とも呼べる名作です。
そんな「Model One Radio」の設計思想はそのままに、もう少しカジュアルに、気軽に生活の中に良い音を取り込んでいこうというようなコンセプトで作られたのが、今回紹介する「iPAL」です。だから、最初、ガイド納富はあまり、この「iPAL」を評価していませんでした。木製キャビネットの「Model One Radio」があれば十分だと思っていたのです。価格も「Model One Radio」の方が少しだけ安価ですし。
しかし、使って見ると、この「iPAL」が、単なる「Model One Radio」のカジュアルラインというだけではなく、カジュアルなオーディオとはどういうものかを、よく考えて作られているのが分かりました。例えば、そのサイズです。奥行と高さが、文庫本とほぼ同じ大きさなので、本棚に文庫本と一緒に並べることも可能なのです。そして、それを可能にするために、電源が充電式になっていて、電源コードが不要なのです。そんな小さな部分にも気を配って作られた、生活の中の高音質、それが「iPAL」だと思うのです。
iPodのアクセサリーとしての特別仕様が「iPAL」
背面には外部入力、ヘッドフォン、電源の各端子がある
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「iPAL」は、チボリオーディオのカジュアルラインである「PAL」というシリーズの特別仕様バージョンです。基本的な内容は「PAL」と同じなのですが、ラバー加工のボディでカラーバリエーションが豊富な「PAL」に対して、ABS樹脂でiPodに質感やカラーリングを合わせたものが「iPAL」です。あとiPodと接続するためのケーブルが付属しているのも「iPAL」の特徴です。
他は同じなので、iPodと合わせるよりカラバリで選びたいという方は「PAL」を選ぶのも良いと思います。価格も同じです。どちらも、基本的には高音質の2.5インチ・フルレンジ・スピーカーを搭載したAM/FMラジオです。それに加えて、後方のAUX端子にiPodなどの外部のオーディオ機器を繋ぐことで、それらの機器の再生も行えます。ヘッドフォン出力端子が付いているのも、ガイド納富としてはポイントが高いと思います。
電源は前述したように、充電式のバッテリーですが、もちろん付属のACアダプターでも使えます(このACアダプターが充電用にも使われるので、充電しながら使うことも可能)。電源オフ状態なら3時間で充電完了。約16時間使用できます。実際、バッテリーの持ちは良くて、一日使って寝る前に充電セットで快適に使えました。端子類がゴムでカバーされているなど、日常生活防水設計なので、本当に、家中、どこにでも持っていけるのも魅力でした。
高感度ラジオとしての魅力と利用範囲の広さ
コントロールするつまみは三つだけのシンプル設計
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チボリオーディオの特徴の一つでもある、5:1レートダイアル(チューニングつまみを5度動かすとダイヤルが1度動く仕組み。細かいチューニングがスムーズに行えるし、回した時の感触がとても良い)も、もちろん搭載。自動周波数制御機能で、最適な受信状態を保持してくれるので、チューニングがとても楽なのも、チボリオーディオならでは。
さらに、今回使って感じたのが、その受信感度の高さ。ガイド納富の仕事場は、とんでもなく電波状態が悪く、ラジオもほとんど入った例が無かったのに、この「iPAL」だと、基本的に都内で受信できる局は全て、雑音もほとんどない状態で受信できました。FMも、ロッドアンテナを伸ばせば、問題なく受信できます。モノラル受信だからということもありますが、それにしても高感度です。
FMトランスミッターでiPodの音楽を再生
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iPodにFMトランスミッターを付けて、「iPAL」で受信するようにしたら、これがとても快適。受信感度が良いので、音質が劣化しがちなトランスミッター経由でも、なかなかの音で鳴らすことが出来ました。コードレスホンが届かない部屋にも、きちんと届くあたり、本当に高感度だと思いました。ある実験では約100メートル離れても受信できたという例もあるそうです。
ガイド納富の「こだわりチェック」
もちろん、トランスミッターを経由するより、外部入力端子にiPodを繋ぐ方が音は良いです。ちょっと注意が必要なのが、外部入力端子にオーディオ機器を繋ぐと、FMもAMも聴けなくなること。ラジオの切替えスイッチをAMやFMに合わせることで外部音源を鳴らす仕組みなのですね。なので、ラジオとして使いたい場合は、ケーブルを抜く必要があります(「Model One Radio」には外部入力用の切替えスイッチがあるのですが)。ちょっと面倒な仕様なので、ガイド納富はiPodを聴く時は、ついトランスミッターを使ってしまいます。
充電式で置き場を選ばず、ハイコントラストで切れ味が良いのに、耳に優しい柔らかな音質なので、何となく音を流し続けるのに最適です。キッチンや洗面所に置ける生活防水機能や、コンパクトで何処に置いても馴染むデザイン、防磁シールド付きでパソコンやテレビの側にも置ける設計など、細かい部分まで行き届いた設計が全て、手軽に音楽やラジオを高音質で楽しむ、という一点に向けられている、その感じが、「iPAL」を使っていて何より心地よいと思う理由のように思います。
<関連リンク>
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・チボリ・オーディオ「Model One Radio」のガイド記事はこちら
・「iPAL」とiPodを繋ぐなら、バード電子のマルチスタンドが便利
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