モールスキンの歴史を振り返ってみる
MOLESKINE |
ここ数年で、すっかり定番のポケットノートとして定着した感があるモールスキンのノート。ガイド納富も、前に「最強の取材用メモ『モールスキン・スクエアノート』『モールスキン』プロ仕様」というガイド記事で、モールスキンを取材用メモとして使う際の魅力や使いこなしを紹介しました。その後も、様々な用途でモールスキンを使っています。
そんなモールスキンは、元々、フランスの手工業者によって作られ、パリの文具店で売られていたそうです。ゴッホやマティス、ヘミングウェイ等が愛用していたというのは、この頃のモールスキンです。その後、生産者が減ったことで入手困難になり、1986年にはモールスキンを作っていた会社は全てなくなってしまいます。その後、イタリアはミラノの出版社によって復刻され、日本でも入手できるようになったわけです。
さらに二年くらい前から、モールスキンは多少変わっています。例えば、新品のモールスキンに必ず付いている帯に書かれていた、作家チャットウィンの言葉、「このノートをなくすのは、私にとってパスポートをなくすくらい災難だ」、が無くなっています。また、モールスキンの最大の特徴とも言える、表紙を止めるゴムが少しだけ細くなりました。紙と表紙のサイズ差も少しだけ大きくなったように感じます。これは、作っている工場が変わったからだとか、経営者が代わったのだとか、噂は聞えてきますが、正確なところは分かりません。分かるのは、少しだけモールスキンが変わったような気がする、という印象だけです。日本での代理店も二つの経路があるようで、公式サイトが二つあるというような状況ではあります。
モールスキンのダイアリーを考える
「WEEKLY NOTEBOOK」は、右に一週間分のスケジュール欄、左は横罫ノートというノート中心のレイアウト。 |
ただ、その変化は悪いばかりではありません。例えば、そのモールスキンの変化と同時に、モールスキン自体が、とても入手しやすくなったこと、また、五線譜が印刷された「ミュージック」や、絵コンテを書くための「ストーリー・ボード」といった新しいタイプのノートも、普通に買えるようになり、毎年のダイアリー(つまり手帳ですね)も、きちんと入荷するようになったのです。これは、愛用者として、とても嬉しいことです。
そのモールスキンのダイアリーですが、やはりモールスキンと言いますか、流石と言いますか、見事に「ノート」であることを忘れていないのが大きな特徴でしょう。一日一ページのタイプと、見開き一週間のタイプがあるのですが、どちらも、手帳というより日付が入ったノートという感じのレイアウトなのです。特に、見開き一週間と言いつつ、実は左ページに一週間分の日付が書かれていて、右ページは全面がノートになっている「WEEKLY NOTEBOOK」は、本来はノートなのだけれど、手帳の機能も持たせてみました、という感じで、とても面白い使い方が考えられそうです。
インチとセンチが計れるスケール付きなのが好き
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モールスキンの本来の使い方は、どこにでも持ち歩いて、思いついたこと、目に付いたもの、取材メモ、スケッチ、気がついたことなど、何でも書くというものです。その際、日付も一緒に書くのですが、この「WEEKLY NOTEBOOK」なら、それがいつのメモなのかが一目で分かります。一年で一冊の、その年のメモが出来上がるわけです。取材などに使うには量が少ないのですが、日常生活のメモとしてならちょうど良いページ数。一日一ページのタイプは、モールスキンというには妙に分厚くなっていますが、この「WEEKLY NOTEBOOK」なら、いつものモールスキンと同じ厚さでコンパクトなのも良い感じです。
付録として長さが測れるスケールや単位換算表、世界の時差表、2007年と2008年の年間予定表など、使えるデータも付いています。もちろん、モールスキンの特徴でもある巻末のポケットもあります。スケジュール管理としてではない、アイディアや備忘録を管理するための手帳として、とても面白い仕上がりになっていると思います。
次のページでは、モールスキンのちょっとした使いこなしと、特製モールスキン・カバーを紹介します