こだわりの空間だからこそ「花」が欲しい時もある

Rock Paper Scissors
「still green」5,040円(税込)
花束は別にしても、日常の中で草木や花を手にする機会というのは、結構あったりするものです。舞台や発表会のようなイベントに行くと、集まった花束から一輪ずつ来場者に配ったりしますし、春先には、梅の一枝、桜の一枝をお土産にいただくこともあります。また、ふと路傍に咲いた花を持ち帰りたくなったりすることもあります。彼女が遊びに来る時に、何故か花を一輪持ってきたり、ということもあったりします。ただ、そんな時、それを「ああ、こういうのもいいな」と思ったりしにくいのは、花をもらったりしても、それをどう扱っていいのか分からない、という男性が多いからではないかと思うのです。

つまり、花をさっと飾れる一輪挿しのようなものがあれば、花をもらったり、眺めたりするシチュエーションを余裕を持って楽しめるはずなのです。花も木も草も、これがよく見ると色々と造形的にも面白く、また、季節や自然を部屋の中に取り入れる楽しみは、日本では古くからの大人の男の愉しみの一つでもあります。こだわりの空間だからこそ、そこに移り変わる自然を取り入れたいこともあるのです。

ただ、そうは言っても、男の部屋に合う花瓶というのも中々ないものです。和室ならそれなりのコーディネート次第で骨董の花瓶を使うというのも手なのですが、それはそれで高価だし床の間がある部屋に住んでいるわけでもなく、千利休のようにはいかない現代に生きる私たちです。などと思っていたのですが、最近、そんな大人の男の部屋のためのような一輪挿しを見つけました。その一つが、MOMAでも扱うことになったという「still
green」
です。


男の部屋に似合う「さりげなさ」をデザインした「still green」

影がキレイな輪郭だけのデザインがカッコ良い
花瓶の輪郭を一輪挿しにデザインした「still green」は、1979年生まれのデザイナー徳田祐子さんの実質的なデビュー作。そのスタイルは写真のようにしてモノだけを見ると、とてもオシャレ過ぎて置く部屋を選びそうなのですが、輪郭だけというデザインは、他にモノがある部屋に置くと、思った以上にその場所に馴染むのです。それは、多分、輪郭線の中も外も、部屋の風景が見えるためでしょう。そこにあるような、無いような、本当にさりげない存在感が、モノでゴチャゴチャした空間にもとても自然にマッチします(とはいえ、その風景を写真でお見せするのは、ガイド納富のあまりにプライベートな空間の紹介になってしまうので、今回恥ずかしくて掲載できませんでした)。

この一輪挿しは愛知の陶磁器メーカー「セラミックジャパン」が製作しています。セラミックのような、高温で焼く陶磁器は、その焼成段階で形が歪みやすいのですが、そこを独自の技術で解決。きちんと自立するように形を決めて製作することに成功しています。この輪郭部分全体に水が入るように作られていて、水を入れるとさらに底面が安定する仕組みになっているのも、道具好きの心をくすぐります。デザインのセンスと製作サイドの技術の両方があって初めて実現した一輪挿しなのです。

大量の花が挿せるわけではなく、数日だけ花を挿しておく一輪挿しですから、メインテナンスの手間もありません。水を入れ替えてよく振れば簡単に洗浄できますし、花を挿さなくても置いておける上に、厚みが無いデザインなので邪魔にもなりません。軽くて、花を挿したままでも持ち運びが楽なのも嬉しいところです。普段は机上に置いておいて、邪魔な時はさっと移動させて、といった使い方も出来るわけです。


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