ミノックスらしい周辺機器としての複写セット
MINOXのレンズ解像度の高さを利用した複写機ツール
|
前のページで、ミノックスは書類を複写する機能を持っていることを書きましたが、複写専用のスタンド(約6000円程度)も用意されています。ミノックス本体をすっぽりと装着した本体には、四つの脚が付いていて、この脚の下に複写する書類を置けば、ぴったりと、その書類の大きさで複写することが出来るという優れ物です。
脚は、引っ張ると三段階に伸びるようになっていて、伸ばさない状態で葉書サイズ、一段階伸ばしてA5サイズ、フルに伸ばしてA4サイズの書類を、画面いっぱいに撮影できます。ピントリングの20cm~60cmまでの数字も、紙のサイズに合わせてピントを合わせやすいように刻まれているわけです。そのくらい、ミノックスには書類のコピーのような撮影シーンが想定されていたということです。
それは、今で言う所の、デジカメのマクロ機能を使ってカメラを日常のメモ的に使おうという発想の元になるものです。そう思ってミノックスをよく見ると、そのデザインや小型軽量なところ、周辺機器が豊富なところ、撮影の素早さ、簡単さ、などデジカメとの共通点が多いのです。残念ながら、ミノックスほどの操作感の良さを持つ小型デジカメはまだ登場していませんが。
ストロボの装着の他、まだまだ色々ある周辺機器
ストロボ用シューでストロボを装着。ストロボは光量調整機能付きをお勧めする |
また、昔懐かしいキューブ型のフラッシュライトを装着するためのアダプターもあります。これらのフラッシュに関しても、光量に応じてきちんとAE(自動露出機能)が働くので撮影の失敗も少なく。レンズの集光性が良いせいか、とても明るく撮影できます。
他にも、ファインダーとレンズに双眼鏡のそれぞれのレンズを重ねることで、双眼鏡で見ている拡大画像を、そのまま撮影できる「双眼鏡アダプター」(25000円前後)や、専用の現像タンクなど、周辺機器は様々。ガイド納富は実物を見たことがありませんが、ドイツ本国には、ミノックスのフィルム用の小さなスライドプロジェクターや、専用の引き延ばし機などもあるようです。
ガイド納富の「こだわりチェック」
ミノックスフィルムは小型のカメラに多く使われている。価格はカラーフィルム36枚撮りで約800円前後 |
ただでさえ、この小ささといい、シャキッと伸びるボディといい、シャッターが落ちるメカニカルな音と動きなど、子供の頃のスパイへの憧れや、精密なモノへの憧憬、機械を手のひらに持てる幸せなどなど、男の本能に直接訴えかける要素がたっぷりのミノックスです。そこに、さらに精巧な周辺機器やアクセサリーが加わり、一つの世界が形作られています。この世界全体がミノックスの魅力と言えるでしょう。
子供の頃の憧れは色々ありますが、大人になって、その憧れに手が届く時、多くのものは軽い失望感を憶えます。しかし、このミノックスは違います。実際に手にした時の方が、子供の頃の憧れよりも大きかったりするのです。そのあたりが、ドイツの工業製品の凄みでもあり、ミノックスという小型カメラが持つ魅力でもあると思うのです。
ミノックスの本体は、現状では「MINOX TLX」だけが、大手のカメラ店などで売られています。しかも、このTLX、かなり高価(安くても7万円程度)なのです。ただし、中古カメラ店をマメにチェックすると、完全機械式のB型が40000円前後、オート露出を持つLC型も、60000円前後で購入できます。ヤフオクなどにも、時々出品されています。どの機種を選んでも、それなりに楽しめるので、型にこだわらなくても良いと思います。
とにかく、手に持ってみてください。子供の頃の憧れが、今も全然替わっていないことに気がつかれるはずです。
<関連リンク>
・ドイツ、ミノックス社の公式サイト(ドイツ語)
・アメリカのミノックス公式サイト(英語)
・個人サイトながらミノックス情報が充実しています
・ミノックスの購入はレモン社でどうぞ