小型ギターで久しぶりにギターへの愛が甦る
Martin 「BackPacker SteelStrings」
価格35000円前後
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アコースティックギターという楽器は、コードを押さえるだけで簡単に伴奏や弾き語りが出来ますし、フレーズを弾いてソロをとることも出来ます。一台持っていれば、ちょっと歌を歌いたいとか、テレビなどで耳にしたフレーズを弾いてみたいと思った時に、すぐ手に取って弾くことが出来る便利な楽器なのです。電源も要りませんし、弾き方で音量を調節出来ますから、一人で周囲に迷惑をかけずに練習することも出来れば、大きな音を出してみんなで歌う時にも使えます。
ただ、アコースティックギターは意外に大きく、厚く、それなりの音の物をと思うと価格も高いのがネックと言えばネック。若い頃にそれなりに弾いていても、いつしか弾く機会を失って、指が動かなくなると共に、ギターも手放してしまった、そんな人も多いでしょう。ガイド納富も、エレキギターは愛用のテレキャスターを持っていたものの、アコースティックギターは場所を取るし、手放したきりになっていました。
ところが、ひょんなことから、このマーチンの「バックパッカー」と呼ばれるミニギターを手に入れてから、再びギターを弾くことが凄く楽しくなり、それと共に、すっかり動かなくなっていた指も少しづつ動くようになってきました。この「バックパッカー」は、長さで言えば通常のアコースティックギターに比べて10cm以上短く、厚さは約半分かそれ以下、そして写真で見ても分かるように、かなりスリムなボディで、部屋に立てかけておいてもほとんど邪魔になりません。
小さいギターであることのメリットは意外に多い
ストラップ、ソフトケース、歌本などが付属する
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ボディが小さいということは、収納場所を取らないと同時に、弾く時も場所を取りません。つまり、いつでも手に取れる場所に置いておいて、弾きたい時にさっと手にして、練習したり演奏したり、といった流れがスムーズなのです。そのせいか、何かというとギターを手に取るため、練習も進みいつの間にか上達していました。
アコースティックギターの場合、ボディが小さいということは、理論上それだけ大きな音が出ないということです。確かに、このギターは、軽くつま弾くとかなり小さな音しか鳴りません。そのため、夜間の練習などにも使えるのですが、きちんと弾くと、その大きさからは考えられない、かなり大きな音が鳴ります。そのあたりは、アコースティックギターの老舗メーカー、マーティンの本領発揮というところでしょう。元々「バックパッカー」という名称の通り、背中に背負って何処にでも持っていけるギターとして作られたもの。屋外で聞こえないようでは旅のお供にはなりません。
実際に手に取ると、見た目以上に小さく軽く、それでいて通常のギターと同じような感覚で弾けるフルスケールのフレットを備えています。16フレットまでしかないので、エレキギターに慣れた人には高音部が物足りないかもしれませんが、通常のアコースティックギターの演奏音域としては十分と言えるでしょう。
ガイド納富の「こだわりチェック」
シリアルナンバーが入ったシールが貼られている
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と、色々とギターとしての魅力を書きましたが、実は、このギターの最大の魅力は、木工工芸品としての完成度の高さです。メキシコの工場で作られているようですが、シェイプの美しさ、貼合せ部分の仕事の丁寧さ、ややテンション(弦の張りの強度)が高目なのに、弦高が低めで弾きやすく、指の滑りが良いフレット部分など、木で作られた製品としての魅力に満ちているのです。
それは、丁寧に作られた北欧家具や、箱根の寄せ木細工、職人の手による収納など、良い木工製品に共通する精巧さと人の温もりという相反する価値の融合です。だから、持っているだけでも、何だか嬉しく、心楽しくなるのです。無駄のないシェイプのボディデザインも、他では見られない美しさです。
オベーションやギブソンの本格的なギターはもちろん、永遠の憧れではあるのですが、自分の腕にそぐわない楽器は買いにくいものです。しかし、この「バックパッカー」なら、マーティン製とはいえ、特殊なギターだし、それほど高価でもありません。しかし、そのへんの安物ギターを買うよりも、モノとしてのこだわりを感じるし、持っているだけで嬉しい楽器でもあります。久しぶりにギターを弾いてみようかと思い立った大人の男には、ちょうど良い道具ではないでしょうか。
<関連リンク>
・マーチン「バックパッカー」を購入するなら石橋楽器で
・島村楽器でも売ってます
・楽器のダブダブでも売っています
・マーティンの公式サイト(英語)
・ギターを弾くなら楽譜などが無料で手に入る「OLGA」へ(英語)