メルセデス・ベンツ/メルセデス・ベンツの車種情報・試乗レポート

乗用車の世界基準、Mベンツ・Eクラス(2ページ目)

今年の輸入車で最も注目されている1台、M・ベンツEクラス。7年ぶりのモデルチェンジで“走り”の面ではほとんど完璧に進化したEクラスに足りないモノとは……。

西川 淳

執筆者:西川 淳

車ガイド

クラストップの静粛性と長距離航続性

M・ベンツEクラス
対向車を感知し自動的にハイビームとロービームを切り替えるアダプティブハイビーム、車線の逸脱をドライバーに知らせるレーンキーピングアシスト(オプション)、歩行者を強調表示する進化したナイトビューアシストプラス(オプション)などの最新装備を採用する

ともあれ、クルマの、だいたいの雰囲気をお伝えするためにも、まずは左ハンドル仕様に乗ってみなきゃはじまらない。E350アバンギャルドに試乗した。

M・ベンツEクラス
M・ベンツEクラス
海外仕様(上)に装着されていたLEDのデイタイムライトは国内仕様(下)では専用デザインの補助灯に変更された
日本仕様の顔つきをみて、“はて?”と違和感を抱いたのは、法規上の事由で、例の特徴的なLEDライトがないからだろう。日本向け専用デザインの丸い補助灯が左右バンパーグリルに配されている。まあ、これもメルセデスのイメージだが、仕方ないとはいえ、新しさに欠けよう。

改めて日本の環境で新型Eクラスをみると、スペインで見たときよりも輪をかけて「立派になったなあ」という気がする。くどくなったように思えたマスクも、ボクには一足お先に馴染んできた。ベンツデザインの常で、街でもっと見かけるようになれば、みなさんもすぐそうなるだろう。サイドに盛り上がったリアセクションのデザインがけっこう効いていて、立派であっても鈍重な印象を与えない。

室内も明らかに広々としている。相変わらず無骨で男っぽい雰囲気のインテリアだが、旧型の大人しさに比べればずっと派手な装い。ちょっと野暮ったく見えてしまうのは、面積の大きいプラスチック部分のシボ処理が古くさいからか。

M・ベンツEクラス
シフトはSクラスにも採用されているステアリングコラム(ダイレクトセレクト)となり、パドルシフトを備えた7ATを搭載。操舵角に応じてステアリングギア比を変化させるダイレクトステアリングが採用される

街中を転がすぶんには、随分と“高級車”な乗り心地である。とにかく静かなうえ、軟球を掌で抑えながら転がすようなしなやかさだ。それでいて、前足のさばきにためらいがなく、自然にかつ軽快に動く。だから、はじめての運転でもすっと入っていける。要するに、とても運転しやすいクルマだ。

ひと言でいえば、落ち着きを兼ね備えたアジリティのあるクルマ。そういう意味ではCクラスのライドフィールをいっそう進化させて、Eクラスらしい重みを加えたもの、と言えそうだ。

お得意の高速域に達すれば、さらに心地のいいドライブがまっている。外のボリュームをさらに絞ったかのように静けさは増し、大きなハンドルがもたらすゆとりが安定した高速走行を促す。どうしたかことか、前足のちょろちょろした動きが気になる領域もあったが、それ以外は申し分なし。静粛性と長距離航続性では、まず間違いなくクラストップだろう。

“走り”の面では、ほとんど完璧な新型Eクラス。新しさに見合ったパワートレインを手に入れれば、言うことがない。
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