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実際に前席センターシートに子供を乗せてみて エディックスの実用性チェック

前3人、後ろ3人乗車を可能したホンダ・エディックス。気になる3人掛けをの実力はどうなのか? 実際に子供と一緒にドライブにでかけてチェックしてみました。

執筆者:森山 みずほ


前3人、後ろ3人乗車を可能したホンダ・エディックス。本格的な走りの評価は、他のガイドさんのところでも紹介しているので、ここでは実際に子供と一緒に使ってみて、前3人掛けというのは、どうだったのか?
を中心に紹介していこうと思います。


 さて前席を3人掛けにしたエディックスは、センターのシートを後ろにずらすことで、空間的余裕を持たせると同時に前面衝突に対する安全性も確保しています。
 ちなみにこのセンターシートは270mmの後方スライドが可能。1cmピッチでスライドができ、最後端にした場合のみ、前向きチャイルドシートに座らせた子供が乗せられるというわけです。ちなみに乳児用(後ろ向き)チャイルドシートは不可。正直、親心としてはベビーシートこそ隣に置きたいものですが、後ろ向き装着をした場合、インパネ方向への張り出しも大きくなるため、安全面から×としています。
 でも、せっかくここまでやったのだからもう少しスライド量を増やすとか工夫をして、そこをなんとかクリアできなかったのか? どうしても納得できず開発スタッフに尋ねてみると「実際にトライはし、何度も衝突テストをしてみたのですが・・このボディサイズでは無理だったんです」ということ。
 そう全長はシビックと同じサイズ。全幅は1795mmとオデッセイ並みにあるが、それでも最小回転半径を4.9mとすることで、街中での扱いやすさを確保しています。なにしろターゲットはファミリー層だけに、買い物など日常生活での扱いやすさもエディックスの宿命。そのためにこういうレイアウトになったというのですが、う~ん、正直ベビーシートが乗せられない、というのは残念に思えてしまいます。
 でもそうは言ったものの、親としての利便性を求める反面、安全性は幼児用であっても本当に大丈夫なのかの不安も払拭しきれなかったりも。ベビーシートがなんで前に乗せられないのぉ! と言った口で、こういうのも矛盾に聞こえるけれども、なにしろ交通事故の車両相互事故の40%は前面衝突というのが現実(まぁ後突も増えているので難しいけれども)。昨今、エアバックなどの安全装備の効果で死傷率は減っているものの、本当に子供を前に座らせてもいいのでしょうか?
「確かに子供は後席に、というのは今でも基本スタンスです。ただインパネの形状を工夫したり、シートを最後端にすることで、エアバックの展開時の距離も十分に確保できました。もちろん子供用ダミーを使っての衝突テストも繰り返しています。その結果、子供もシートを一番後ろにすればOKということにしたまです。ただ我々はジュニアシート世代、つまり身長90~100cm以上の子供が座ることをメインに考えていますが、チャイルドシートも問題はないんですよ」
 若干、歯切れが悪い気もしなかったけれども、まぁ開発陣の話しでは、安全性は大丈夫とのこと。
 ただ思うのは、もしこのセンターシートにチャイルドシートを装着するのならば、乗る毎に、より確実な固定がされているかの確認をオススメします。もちろん通常でも緩みは厳禁ですが、エディックスのセンターシートの場合は、ちょっとでも緩んでいると万一の際にインパネに干渉してしまう危険性が、後席よりもずっと高くなるからです。


 次なる疑問は実際にセンターシートに子供を乗せてドライブした際に、運転の邪魔にならないのか? ということ。このスペースに、専用タイプ(エディックス用のISOFIXタイプのチャイルドシート)以外の普通のチャイルドシートでもきちんと装着できるのか? 実際に試してみました。
 使ったのは、ここクローズアップで毎回使っている、一般的なスタイルのレーマーの前向きチャイルドシート。そして装着も、これまた一般的なシートベルトでの固定装着法でトライしてみました。
 センターシートの幅は左右のシートと比べ、50mmほど狭くなっていますが、意外とサイズはきちんとあり、座面の大きなタイプのチャイルドシートでも、サイズ、座面の形状共に安定感は○。シートベルトもスライドした際に影響ないよう、シート内蔵型になっていて、さらにバックルの位置も低いのでこれならたいていの市販タイプのものも、安定して装着できます。
 そして次に子供を乗せる時に、素朴な疑問が・・。子供を前席に乗せる際は、やっぱり助手席から子供を乗せるの? まさか運転席側じゃないだろうし。この点についても開発スタッフに、どういう導線を想定しているか尋ねると、子供を抱えたまま助手席シートに大人が座り、その状態でチャイルドシートに子供を乗せる、という動きを想定しているそうです。そのために前席ドアの開口部の大きさ、座面の高さ、そしてインパネの膨らみやフロア形状なども考えられているのです。
 言われた通りに実際やってみると、なるほどスムーズ。確かにシートに腰を下ろしやすく、しかも子供を抱いたままでも頭抜けも○。フロアもフラットなので、左右の移動もラクでした。とくにシートは、3人がけとしたことで、左右のシートがよりドア側に位置したことで、腰が下ろしやすくなっているのもエディックスの特徴。
 ちなみに、子供一人で乗り降りをさせてみると・・これが実にラクそうにポンポンと乗り込んで行くんです。低くフラットなフロアは子供にとっても移動がしやすいようで、かなりスムーズな動きに、こちらがびっくりしたほど。

 さて準備も完了し、いざ走りだすと、乗る前の不安がウソのように、まったく隣に置かれたチャイルドシートが私は気にならなかったのです。センターシートを一番後ろにしたことで、シフト操作をした肘がチャイルドシートに当たることもないし、視界に常に子供の姿が入ってくるほどの密接感もなし。でも信号待ちのような場面でクルマを停め、ふと顔を横に向ければ、子供はすぐ横にいる・・という感じ。もちろんジュースやティッシュを手渡すのも問題ない距離。。んっ~、この距離感はなかなか絶妙! もっと運転中に気になるかと思ったけれど、そんなことも無く、手を伸ばした子供に、運転席のシートベルトを引っ張られるたり、操作系を触られるような煩わしさもなし。子供が足でインパネを蹴るのでは、という心配も、取り越し苦労でした。
 試しにクルマを停めた状態で、シートを前にずらしてみると、足でインパネは蹴られるは、運転の邪魔になるわで「これじゃ、自ずと一番後ろに下げるよな」という感じ。見事なセッティングだなぁと感心してしまったほど。
 ところが、ちょっと背の高い男性に運転してみてらうと・・・「なんだか子供が気になる。時々肘も当たるような気がするし」というのです。
 なぜ私とこんなに感覚が違うの?と色々と調べてみると、テスターの男性の身長は170cm。そして私の身長は157cm。この10cm強の身長差、正確には運転席のシートポジションの前後位置の差が感覚の差を生んでいたのです。
 たかが10cm、されど10cmというわけで、この微妙な運転席の位置の違いで、エディクスのセンターシートへの評価は変わってきます。前気味のポジションの人は、子供を隣に乗せても気にならないけれど、後ろ気味の人は、ちょっと気になるので、ご夫婦で使われる場合も、実際に二人で試乗し、試されることをオススメしますね。

 ところでチャイルドシートに座った子供は、前の景色が見えることで、かなりご機嫌な様子。目線が大人と同じなので「あれ見て」と言って、共通の景色が楽しめるのもエディックスならではのこと。ただし子供にとっては快適すぎて、これで慣れたら、後席にはなかなか座りたがらないだろうな、なんて不安もよぎりました。
 また助手席の大人とは、普通のクルマの運転席と助手席と同じ感覚の距離感で、あまり隔たりは感じなかったですね。真ん中の子供は後席の人とも、前席の人とも会話を楽しめるので、おじいちゃん、おばぁちゃんを乗せるなど大人4人+子供1人というシチュエーションには最高です。


 最後に少しだけドライブフィーリングに触れると、全体的にマイルドなもので、乗り心地もソフトです。もしドライバーが無理な走りをしようとしても、先にタイヤが悲鳴を上げ限界を知らせてくれるので、よほど無茶な人で無い限り飛ばせないセッティングになっています。そのわりには、過重移動もさほど大き過ぎないので、そんな点でも子供と一緒に乗るには適しているなぁと感じた部分。このへんは同じメーカーのファミリーカーながら、ストリームとはずいぶんと性格が違っています。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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