フロントビューは、いかにもコルトを開発したメーカーのミニバンらしい趣だ。フェンダーと連続した面にヘッドランプを置き、ラジエターグリルはボンネットと一体でデザインするところなど、コルトの手法そのものである。
伸びやかなワンモーション・フォルムで、腰高感を抑えているのは、最近のステーションワゴン型ミニバンでは標準的といえるが、サッシのブラックアウトやリヤピラーをガラス面で覆ったヒドン・ピラーの採用など、サイドからリヤへのウインドウグラフィックに個性を持たせている。また、テールランプは上下に拡がる細身のもので、すっきりとしたテール周りの造形にアクセントを与えている。
ステーションワゴン型ミニバンではありがちなフォルムを、手練手管で個性的なスタイルに仕上げたといった感じである。ただし、それは相当底意地の悪い見方である。ステーションワゴン型ミニバンに求められるキャビンや居心地(運転感覚)を考えるならば、フォルムそのものもを突飛にするのは不可能だ。例えば、ストリームにしても、ウィッシュにしても、あるいは初代イプサムを持ってきても、似たか寄ったかといえばそれまでなのである。
逆にいえば、見慣れた形の中に、いかに新鮮な味わいを持たせるかが重要。あるいはコルト、グランディスと続いた路線で新生ミツビシが何であるかをデザイン面で主張して、なおかつ売れセン(つまりユーザーの要求)に的確に応えた結果なのだろう。
現在のところ車体寸法など詳細は発表されていないが、オデッセイや現行イプサムとストリームやウィッシュの中間的なサイズ設定と予想できる。5ナンバーサイズの手頃なステーションワゴン型ミニバンとしては、すでにディオンがあり、ことさらお手頃路線に合わせるとも思えない。従来車(現行グランディス)もオデッセイとストリームの中間的なサイズ設定であり、この辺りにまとまるのが妥当だろう。
気になるのは価格だが。従来車は現在の売れセンからすると明らかに高価格路線。ミニバンがブームから一般化する端境期に登場したことやガソリン直噴などのメカや室内機能で頑張りすぎた結果の価格とはいえ、価格的な競争力はグランディスのウイークポイントだった。次期モデルではかなり手頃感を高めると思われるが、装備設定により価格レンジが幅広くなるとも考えられる。