ここ数年、自動車の衝突安全性は飛躍的に向上している。欧州で『ユーロNキャップ』と呼ばれる衝突安全性ランキングが公表されるようになったためだ。やはり公的な機関によってキチンと行われた衝突実験のデータを見ると、危険なクルマなど買いたくなくなってしまう。日本も今年の3月末、やっとユーロNキャップに並べるような衝突安全性ランクングを発表することとなった。事情通なら「国土交通省の外郭団体『事故安全対策センター』のテストなら今までもやってたハズ」と思うかもしれない。

その通りで、97年度から衝突実験のデータを公表していたのだけれど、なぜかこの団体のテスト、国土交通が自動車の型式認定をする際に義務づけているフルラップ衝突モード(車体前面をコンクリートの壁に衝突させる方式。実際にはあまり無い事故形態)しか行ってなかった。運輸省の基準より5km早い55kmからの衝突とは言え、自動車メーカーはそのくらいのマージンを取ってクルマの開発をしてる。当然ながらひどい成績を収めるクルマなどない。実際、最も悪い成績はBランクで、それすら乗員に決定的と思えるくらいのダメージは与えないという数値。

ユーザーの立場からすれば、義務づけていないオフセット衝突モード(車体前面の半分を衝突させる方式。実際の事故に多い衝突形態)でのデータこそ見たい。当然ながらマスコミからも「国土交通省指定の実験モードと同じなら税金のムダ使い!」と激しいバッシングを受けた。そんな経緯があり、やっと今回から64kmのオフセット衝突モードを追加したという寸法。ちなみにオフセット衝突の追加で、従来からあった55kmフルラップに55kmの側面衝突と3つの事故形態の安全性が判別可能。世界で最も整ったテストモードになった。

非常に残念なのは、大半のメーカーが今回から追加されるオフセット衝突モードに合わるようにして、続々と衝突安全性を強化してしまった点。例えば軽自動車。98年10月時点でテストを行えば、おそらく安全性ランクに大差が付いたろう。ホンダは当初から64kmオフセットに対応していたものの、ダイハツは58kmオフセット対応。スバルが55km。スズキと三菱は対応していなかった。昨年度からオフセットモードを入れれば、BやCといった評価続出となったに違いない。

今回のテストで、本当の実力が見えてくると思う。ちなみに今回は各衝突モードの評価は従来通ながら、総合評価を『☆』の数で行う。大雑把に言えば、フルラップとオフセット、側面衝突がA平均なら☆三つ。AAで☆四つ。AAA揃うと☆5つになるらしい。注目したいのが☆5つ取る車種出るかどうか? 今のところ最も可能性有るのはセドリックとレガシィだとウワサされている。
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