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映画『24 Hours Party People』 マンチェスター~革命の閃光(3ページ目)

ファクトリー・レコード、ハシエンダ、スカリーズ・ファッション・・・伝説のマンチェスター・ムーヴメントを創った男たち、世界を変えた音楽とカルチャーの映画。

執筆者:森田 剛

'80年代末~'90年代初頭、ストーン・ローゼズハッピー・マンデーズの出現によって「マッド・チェスター」と呼ばれたムーブメントは、ロックとダンス・ミュージックを核融合させたような、まったく新しい種類の音楽を生み出した。

それは音楽だけでなく、カルチャーやファッションとしても新しいスタイルを生み出した。彼らが身に着けていたサッカー・ジャージにナイロン・パーカー、バギーパンツにスニーカーという出で立ちは、数年後、ハイファッションのデザイナーたちに頻繁に引用され、今では若者のユニフォームのようになっている。

しかし、ハッピー・マンデーズの音楽を全世界に伝染させたファクトリー・ レコードは、事実上倒産する。
"ファクトリー は何も所有せず、アーティストが全てを所有する"という契約条項から、代表者トニー・ウィルソンの手元に入る資金は驚くほど少ないものだった。

最後に一文無しになったウィルソンが空を見上げると、そこには神の姿が。
「あの神様、おれに顔がそっくりだったぜ!」 ウィルソンは叫ぶ。

ケンブリッジ大学出身を鼻にかけ、フィッツジェラルドなど文学からの引用を頻繁に口にしてキザなインテリぶりを発揮するこの男、トニー・ウィルソンも、ピストルズのライブに集まった、たった42人の若者たちの1人でなかったら、こんな破天荒な人生を送らなかったのかもしれない。
まるで時代に呼び出されたかのようにある場所に居合わせ、自分そっくりの神様の分身として目まぐるしく動きまわった。自分の実入りなど一切考えず、自由で新しいものを世界中にまき散らすために。
革命を起こした「さえない天才たち(映画コピー)」、自分に似た神様のように等身大の天才たち、でもまぎれもない天才たち・・・

マンチェスターの音楽のファンの人はもちろん、そうでない人も、世の中には自分の価値観や人生というものを根底から覆してしまう強烈な体験がある、と思っている人にはオススメの映画。
自分にとってそういった体験は、間違いなくストーン・ローゼズのライブに触れた瞬間だったし、その革命はいつまでも色褪せない。

24 Hours Party People
シネセゾン渋谷3月22日公開
写真提供:ギャガ・コミュニケーションズ

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