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しかし「マリアンヌ・フェイスフル」という名前を発音してみると、そこにはまるで天使のような軽さ、恭しさがある。 映画『あの胸にもういちど』の原作はフランスの作家マンディアルグの『オートバイ』だが、同じ作家による『仔羊の血』という短編もまた、つぶさにマリアンヌを連想させるストーリーだ。ここに出てくる、ウサギの毛に素肌を触れ合わせ、七色の羊の毛皮に覆われる孤児院の少女は、素肌にレザーを着けハーレーを操り、警察による薬物の家宅捜索の際には全裸に毛皮を巻いただけの姿だったと言われるマリアンヌと重なり合う。 天使の囁き、かつて『AS TEARS GO BY』を歌った儚げな美声は、薬物濫用のためにわずか数年で潰れてしまい、ミックとも別 れた彼女は場末のライブホールの歌手にまで身を落としてしまう。
それから、アルバム『BROKEN
ENGLISH』(1980年)でマリアンヌは復活するのだが、最終的に彼女が歌を選びとるまでの期間は相当シビアなものだったのだろうと思う。
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