NYのファッション業界で活躍する女性たちシリーズ第３回。
今回は、ファッション業界人なら誰もが購読している、繊研新聞の通信員としてNYコレを取材されていたファッション・ジャーナリストの望月実穂さんをご紹介します。
MIHO MOCHIZUKI／望月実穂さんファッション・ジャーナリスト
PROFILE：静岡県生まれ。目白デザイン専門学校、ファッションビジネスコースの教員として4年間勤務。98年夏に渡米、2001年春から繊研新聞のNY通信員となり、ファッション・ジャーナリストとして活躍。2003年春に帰国、現在も繊研の大阪支社他で、ジャーナリストとしての活動を続けている。
★初めてのNYは引率で
97年の夏に初めてNYにへ。そのときは専門学校の教員をしていて、NY研修の引率として22人の学生と一緒に来ました。そして、そのとき「私は来年、この街にいる」というインスピレーションを得てしまったのです。東京に帰ってきて、学校の校長先生に「NYに留学したい」という告白をしました。
★もっとファッション・ビジネスの現場を知りたい！
その後、学校に勤めながらIFI（Institute for the fashion industry)ビジネススクールという学校の夜のコースに通い始めました。大学を卒業して専門学校にすぐ就職したので、ファッション・ビジネスの現場を知りたい、という思いも強かったのです。週に1回は専門学校の方を早退しないといけなかったのですが、校長先生がとても理解のある方で、協力していただきました。
IFIの講師はファッション業界の現役としてバリバリ活躍されている方ばかり。伊勢丹のマーチャンダイザー、ユナイテッドアローズの重松社長、ビームスのバイヤーの南馬越さんなど。受講生は25人で、私以外は商社や百貨店からの受講生が多かったです。私の場合、講師の先生だけでなくて、受講生の人からも現場のことをいろいろ教えてもらってとても勉強になりました。
望月さんがリポートした
繊研新聞の記事。
ファッション業界人が
最初に目にする、NYコレ評だ。
★27歳の転機
半年間、IFIに通い、翌年春、専門学校を退職。その秋からNYに行こうと決めました。しかし、家族全員が反対。当時私は27歳。4年間学校に勤めて、仕事でも評価をある程度得られるようになり安定してきているにもかかわらず、なぜその年で冒険しなくちゃいけないんだ、って父に言われました。
日本だったら、27歳という年齢は結婚するか、仕事でもう少しがんばるか、という過渡期。当時、NYにはひとりも知り合いがいなかっのですが、ゼロからやってみたい、どこまで自分ができるか試してみたい、と思ったのです。
ちょうどそのとき落合信彦の『アメリカよアメリカよ』という本を読んでいました。その中にあったロバート・ケネディの言葉にとても影響を受けました。「現在の状況に満足するものに未来はない」、「多くを与えられたものは多くを要求される」という言葉。私も学校に勤務しているときには校長先生をはじめ、多くの人に助けられたと感じていました。
ファッションウィーク中は毎日通ったブライアントパークのテント。フロント・ローで見た、2004年秋冬、ラルフローレンのショー。
★NYに来る前の準備
実は高校生のころから漠然とNYに行きたいという思いはありました。その後、就職したときにある方に連絡先をいただいて、繊研新聞のNY通信員の杉本佳子さんに手紙を書いたのです。半年くらいたって、返信が。内容は「あまりにも漠然としすぎているからもっと練り直したほうがいい」というもの。お返事をいただいたこと自体はとても嬉しかったのですが、シビアな文面にはとてもショックを受けました。その後、FIT（NYのファッション大学）の卒業生に会って相談したり、少しずつ、NY渡航への準備を始めました。
また、当時、繊研でNYコレをリポートされていた伊藤操さん（現在は『ハーパースバザー』日本版編集長）にもお会いするチャンスを得ました。色んな方とのつながりで、当時NYにいらっしゃる方とのコンタクトがだんだんと増えていきました。
次のページでは、渡米後、そしてNYコレの取材裏話を大公開！
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