★そもそもアメリカに来た理由は
もともと面白そう、と思ったらすぐ動くタイプ。日本の職場でアメリカ人と接する機会が多かったので、これからの時代、一度は海外を見てみないとだめだ、と思ったのです。それで、ペンシルバニアで4ヶ月間、語学留学しました。その後、せっかくだから人とは違う方法で日本まで帰ろう、と思って、NY経由で日本へ帰るピース・ボートのプログラムに応募。でも、人数の関係で船が2隻になり、自分は1ヵ月後に出港する後便にしか乗れないことになって。それで、その1ヶ月間、プログラムのお手伝いをするためにNYとペンシルバニアを行ったりきたりしているうちに、気が変わってしまった。NYにいられるだけいてみようと思って。
★船には乗らず、NYに滞在
その後、ピース・ボートのお手伝いも続けながら、サマー・ステージ(注:セントラルパークなどで夏季に開催される屋外コンサート)なんかのボランティア、ギャラリーでのインターンもやったりしました。そのときは英語もまだよく喋れなかったのに(笑)積極的だった。ギャラリーのインターンは、たまたま行ったギャラリーの受付に「インターン募集」の告知があったんです。まだ、新聞広告を出す前だったりして、運良くその職につくことができました。自分は、本当に、いつもタイミングよく動いていると思う。
Shiseido Studioで開催されたSusan Ciancioloの展覧会はティー・パーティ形式で和やか。
左は尾関さんが手作りした案内状。
★本物のアートに触れる日々
ペンシルバニアに居たときは、週末になるとNYへ遊びに行くって人が多くて「NYって田舎ものの集まり」って偏見があったんです。でも、トップクラスのアート界の人と接するようになって「NYって本物の人もいるんだ」っていうのがわかって。その後、ギャラリーやアーティストのもとでアルバイトをしながら、FITのマーケティング・コミュニケーションズ専攻に通学を開始。その頃はソーホーがギャラリーのメッカで、シンディ・シャーマンなんかのアートに日常的に接する毎日。この時はまだ学生だったけれど、いろんなお手伝いをさせてもらいながらNYのアートシーンに触れることができて、とてもラッキーだったと思います。
メイクアップレッスンもしているShiseido Studio。
この日はプレス向けの講習会で尾関さんがモデル!
指導は専属アーティストの岡元美也子さん。
★尾関さん個人によるスポンサード
今後もファッションスポンサード、アートプログラムを続けていきたい。自分で勝手にプロジェクトの仕込みはやっていて(笑)、すすんで企画を送り続けている。例え、会社として予算が出なかったプログラムでも、自分個人で何かすることによって「Thank you for Shiseido」って出してもらってブランドイメージがあがるなら嬉しいもの! スーザンのティー・パーティはその例。展覧会の案内状も息子(龍一くん5才)とふたりで折り紙しました。
★資生堂が大好き
実はもともと化粧品に興味があったわけでも、ファッションやアートの仕事をしたかったわけでもないんです。「Face to Face」の展覧会の準備のために日本の資生堂資料館に行って、会社の歴史や資料を見て会社自体に惚れ込んでしまった。初代社長自らがアーティストで、過去の広告やデザインもすばらしい、そして企業としての文化活動を昔からやっている、そういう企業姿勢に一番惹かれました。
ソーホーにあるShiseido Studio。
新製品のトライアルのほか、メイクアップレッスンやフェイシャルトリートメントのサービスも。
予約はオンラインでも可能。
★NYでサバイブするには
運が強くないとダメ。でも、NYにいる人って運のいい人だらけ! だからそこに入っていくのは大変だと思いますよ…(笑)。でも運を強くする方法はきっとあるはず。それは、常にアンテナを張っておいて、これだという本物を見抜く力と、そこから何かを発展させる行動力を養うこと。そして、いつも、オープンマインドでいることも、とても大切だと思います。
★オンラインで予約もできるShiseido Studioのウェブサイト(英語)
★The Makeupのトム・ペシューが手がけた2003年春夏のコレクションメイク、バックステージ。
いかがでしたか? ご意見、ご感想、そしてNYのファッション業界で働くこんな職種の人にこんなことを聞いてみたい、というのがありましたら、ぜひお知らせください。今後のシリーズの参考にさせていただきたいと思います。
☆Japanese Women @ NY Fashion Vol.1はノリータでセレクトショップをオープンした東末千春さん
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