窓からは明るい空が見え、庭園には緑も
バスタブ。べージュ、グレーのタイルが使われ、とても美しい仕上がり
お産のソフトの部分には定評ある日赤医療センターでしたが、この度の建て替えではハードの方も大変高いレベルになりました。都心に住む大人の女性も納得のインテリアで、照明は多くが間接照明。都会らしさと安らぎが共存していました。
癒される雰囲気の鍵は、空かもしれません。今までの建物は分娩室もNICU(新生児集中治療室)も窓がない空間でしたが、今度は大きな窓があって空が見えます。窓の外には中層階に作られた庭園があり、緑の植え込みも見えます。
分娩室は8室!水中出産や畳のお産、緊急帝王切開まで幅広く対応
一般的なタイプの分娩室。本人が望むなら、夫、子ども、家族、誰でもここに入り、一緒に赤ちゃんを迎えることができる
都内で最も多い2000~3000件もの分娩件数を扱う病院として、機能も工夫がこらされています。分娩室は、水中出産や畳のお産ができる部屋も含めて全部で8室もあります。
その真向かいには、帝王切開ができる分娩手術室が2室配置されています。少し難易度の高い帝王切開は別フロアの中央手術室でおこないますが、そこへも特別な直結エレベーターで行くことができます。
妊婦さん専門の入り口から入り、専用エレベーターで階上へ
個室を利用した場合は、オーガニックタオルが準備されている
妊婦さんたちが通院する時も、特別な動線が作られています。「周産母子センター」と書かれた専用入り口から入り、産科外来がある3階と分娩室、入院する部屋、NICUのある5階に止まる直通エレベーターに乗ると、まるで産科の専門病院にいるようです。
退院後、母乳相談に来たり、乳幼児健診に来たりするときも、この動線の中で受診して帰ることができます。これは、実は前の建物で好評だった方式で、今回も受け継がれました。総合病院のざわざわとした雰囲気の中、赤ちゃん連れで長い時間を過ごさないですみますし、感染症の心配も減ります。
たくさんのお産を支えていくために
都心でも、お産ができるところは減り、妊婦さんの救急車を受け入れるのも大変です。この日赤医療センターも、その渦中にあります。その中で、今回パワーアップをはかってくれた日赤医療センターの存在には希望が湧く思いがしました。
なお、今回の新築で分娩室は増えましたが、入院のペッド数は以前より少し減っています。経産婦さんは4泊5日入院となり、一般的な病院出産より1日短くなっています。海外では正常出産ならば24時間で退院する国も多く日本はかなり長かったので、これも一法でしょうか。
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日本赤十字社医療センター(東京都渋谷区)