周産期センターは産科と新生児科が合体した施設
総合(地域)周産期母子医療センターの「周産期」とは出産の前後の時期という意味。産科と新生児科両方の医療が必要になる時期で、周産期センターはそのふたつが組み合わされた施設です。もちろん、産院で母親と赤ちゃんの両方を診るのは当たり前ですね。でも、問題が起きてもっと大きな病院へ移るような事態になると、科の違いによる難しさが出てきます。
たとえば、難しい赤ちゃんが診られる病院は小児専門の病院で、産科がなかったりするのです。でも、周産期センターなら、赤ちゃんはお母さんと一緒です。赤ちゃんに問題があっても、お腹の中にいるときの監視、出産、産まれてからの治療や手術など全部を同じ施設でできるから安全性も高まります。
周産期センターは地域全体のためにある
このようなセンターはもともと都市部の大学病院などにはあったのですが、経営難からいつもベッド不足でした。地方では、県内にひとつもないところもありました。それが、ようやく国が支援する事業として助成されるようになったのは平成8年のことです。周産期センターは、そこにかかっている人のためだけにある施設ではありません。たとえば、県内どこかの産院が「早産しそうなお母さんがいるから送りたい」と言ったらすみやかに受け入れるのが基本的な役目です。生まれてから赤ちゃんを運ぶことになった時は、医師が同乗しているドクターカーが迎えに行くこともあります。
周産期センターにある特殊な治療室
センターには、夜のない24時間体制特殊な治療室があります。■MFICU(母胎胎児集中治療室)……妊婦さんの集中治療室です。PICU(周産期集中治療室)と呼ばれることもあります
■NICU(新生児集中治療室)……赤ちゃんの集中治療室です。
センターは、こうした特殊な設備の規模によって、2つに分かれています。
■総合周産期母子医療センター
MFICUが6床以上、NICUが9床以上あり、それぞれに24時間・365日態勢で産科医と新生児科医が勤務しています。
■地域周産期母子医療センター
総合周産期母子医療センターに近い設備やマンパワーを持っています。県内にいくつもない総合周産期母子医療センターを助ける存在です。
平成14年度末現在、全国に31カ所のセンターが指定されて地域の他の産院とネットワークを作っています。東京も、いつもNICU(新生児集中治療室)が不足していたのにだいぶゆとりが出てきました。平成16年度には、47都道府県すべてにネットワークができることが、目標としてかかげられています。
センターのMFICUやNICUでは、今日も、夜昼のない手厚い治療が続き、小さな赤ちゃんを早産しかかっている人や、病気と闘っている赤ちゃんががんばっています。
写真・都内の総合周産期母子医療センターにあるMFICU(=母胎胎児集中治療室)で
◆右手に、緊急時のために出入り口を大きく取った個室が並んでいます。
■関連記事
◆東京都で搬送の遅れた妊婦さんが死亡
総合周産期母子医療センターの力が落ちていることが明るみに出た事件です。
◆産科医が去ったセンター病院
最近は、医師の産科離れ、センター病院離れが起きています。2007年に、産科が閉鎖されたセンター病院を訪ねた時の記事です。
◆多くが周産期のセンターである「大学病院」の特徴