生命保険料控除、離婚するとどんな扱いになる?
生命保険料控除とは、1年間に支払った保険料の一定額が、契約者(保険料負担者=納税者)のその年の所得から控除され、所得税と住民税の負担が軽くなる税法上の特典です。一般の生命保険料控除と介護医療保険料控除、個人年金保険料控除があり、それぞれ最高4万円(住民税は2万8000円)が控除されます(平成24年1月1日以降に契約した保険の場合)。
今回は、契約者と被保険者が夫、死亡保険金の受取人が妻という保険契約を例に、離婚すると生命保険料控除がどうなるかをお話しします。
生命保険料控除は「保険金受取人が誰か」がポイント
まず、一般の生命保険料控除が受けられる要件を見ておきましょう。対象となるのは、「すべての保険金の受取人が契約者本人または配偶者、その他の親族である生命保険」です。
「すべての保険金の受取人が」と、わざわざ「すべて」の文言をつけているのは、保険金の受取人には、「死亡保険金受取人」と「満期保険金受取人」があるからです。死亡保険金受取人の名義は、既婚者の場合は配偶者にするのが一般的です。満期保険金受取人は、未婚・既婚に関係なく契約者本人にするのが一般的でしょう。
ちなみに「その他の親族」の範囲は、6親等以内の血族と3親等以内の姻族です。
つまり、離婚すると元妻は配偶者ではなくなり、要件を満たさなくなるということ。したがって、元妻の名義のままでは控除は受けられません。
受取人名義の要件を満たしていない間は対象にならない
一般の生命保険料控除の対象になるかどうかは、「保険料を支払ったときの状況で判断する」とされています。具体的にどうなるか、事例を2つ紹介しましょう。どちらも、契約者と被保険者は夫、死亡保険金受取人は妻で、今年12月まできちんと保険料を払った場合です。
●事例1
「今年6月に離婚。その後、ドタバタしていて時間がなく、また、子どももいないことから、死亡保険金受取人は元妻のまま」
このケースは、離婚する1~6月までの死亡保険金受取人は配偶者である妻なので、6カ月分の保険料は控除の対象になります。7月以降は死亡保険金受取人の要件を満たしていないので、控除の対象にはなりません。6親等以内の親族に変更しない限り、控除の対象にならない状態が続きます。
●事例2
「今年3月に離婚。離婚するまでは妻が死亡保険金受取人だったが、死亡保険金受取人の名義を変更しなければいけないことを知らずそのままに。知ってから、9月に息子への変更手続きをした」
このケースでは、1~3月と9~12月は死亡保険金受取人の要件を満たしているので対象になります。元妻の名義のままだった4~8月は要件を満たさず、対象になりません。
いずれにしても、離婚したらなるべく早く、要件を満たしている受取人に変更するのがポイントです。