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事例に見る配偶者と子どもへの賢い遺産分割(2ページ目)

今回は「遺産額1億4,000万円で相続人は配偶者1人に子ども2人の合計3人」という同じ条件において、違う遺産分割の仕方をした3つの事例を紹介します。遺産分割の仕方によって相続税額がどう変わってくるか、それぞれ相続税額以外のところでどのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。

執筆者:清水 真一郎

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事例2:配偶者(妻)が夫の遺産の半分(7000万円)、残りを子ども2人が取得したケース

相続税,相続,配偶者,取得財産

妻が半分しか相続しなかったケース、全額相続したケースを見ていきましょう

この事例では納付すべき相続税額は375万円。これは配偶者軽減が利いたからです。配偶者軽減とは、配偶者が取得した財産が1億6000万円又は法定相続分のどちらか高い方までなら配偶者には相続税がかからないというもの。ただし子の取得分に対して相続税がかかります。子は、2人で合計7000万円の取得に対して375万円(750万円×取得割合50%)を負担しました。

この事例で配偶者が遺産の半分を取得したのは、次に配偶者が亡くなった時の相続税の心配がなかったからです。事例1のように配偶者である妻に固有の財産がなく、遺産の半分(7000万円)を取得しても、次の相続では遺産が相続税の基礎控除額(7000万円=5000万円+1000万円×2人)以下になり、相続税の申告義務がないためです。


事例3:配偶者(妻)が夫の遺産のすべてを取得し、子どもたちはまったく取得しなかったケース

このケースの場合、納付すべき相続税額は0円となりました。理由は事例2と同じく、配偶者軽減で遺産額1億6000万円以下のため全額が軽減されたのです。当然、2人の子どもたちも財産を取得していないため、相続税はかかりませんでした。

このケースにおいて配偶者である妻が遺産の全てを取得したのは、配偶者の年齢が65歳とまだ若く、さらに配偶者自身に固有の財産がなかったためです。この方は、次の妻からその2人の子どもたちへの相続税が気になるところであります。しかし、ご主人を亡くされたことで年金収入が大きく下がってしまい、今後の生活で大きく貯蓄を取り崩さなければならない状況が予想されたため、遺産の全てを相続しました。今後の子どもたちへの相続については、お墓の購入、住宅取得等資金を含めた贈与、自宅の増改築、個人年金保険を活用して相続税がかからないように対策をしていくことになりました。


さて、相続においての遺産分割は、相続税をなるべく安くすることもそうですが、それ以外の家庭の事情によっても賢く変えていくものだということはおわかりいただけましたでしょうか。ぜひ、参考にしていただければと思います。


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