海外旅行中にかかった治療費は健康保険が使えるけれど…
保険に入るときは、どんなリスク(危険=トラブル)に備えるのか、そのリスクが現実になったときにどれくらいのお金がかかるか(リスクの大きさ)を考えます。そして、発生リスクは小さくても、リスクが大きい(損害額が大きい)場合に保険で備えることを考えます。海外旅行でリスクの大きいものは、病気・ケガによる治療費と救援者費用、賠償責任だと思います。
海外旅行中にお医者さんにかかったら、病院から治療費の明細書をもらっておき、帰国してから申請すれば、日本の「診療報酬」に見合った金額を払い戻してもらえます。 でも、日本の支払い基準が適用されるので、実際に払った治療費を払い戻してもらえるわけではありません。つまり、海外で病院にかかったら治療費は戻ってくるものの、自己負担になる金額が大きくなる可能性があるということなのです。
それに、現地語で書かれた治療費の明細書には日本語訳をつけなければならず、手続きに時間がかかるなど、健康保険の使い勝手はよくないのが実情です。
救援者費用は千万円単位でかかる!?
また、病院・ケガで入院したら(死亡した場合も)、家族が駆けつけることになり、飛行機代やホテル代などのさまざまなお金がかかります。こういったお金のことを、海外旅行保険では「救援者費用」と言います。旅行先や救援者の滞在日数、状況などによっては千万円単位のお金がかかる場合があります。そもそも、家族が海外旅行に行った際の救援者費用を準備してある人はいないでしょうから、突然、こんなお金の負担が発生したら一大事です!賠償責任は、誤って他人を傷つけたり、他人のモノを壊したりして損害賠償責任を負ったときにかかるお金です。海外旅行中に、重要な文化財などを壊してしまったら、いくら請求されるかわかりませんから、備えておくに越したことはありませんね。
こういった補償や死亡(病気・事故)、携行品損害など、海外旅行中にありそうな損害をカバーしているのが海外旅行保険です。
国内旅行保険は、事故による死亡・入院・通院・賠償責任・携行品損害・救援者費用などをセットしたものです。病気の補償はないので、事故に備えるものと言えます。国内旅行中にケガをしたら、当然、健康保険が使えますし、救援者費用がかかったとしても千万円単位の高額になるケースは少ないと思います。ですから、保険で備える必要性は低いと考えられます。ただ、補償内容と保険料に納得がいけば、つまり、リーズナブルと感じれば入ってもいいでしょう。
ネットで手軽に加入できる旅行保険が増えている!
旅行保険は、みなさんはよくご存じでしょうけれど、クレジットカードに付帯している場合があります。海外旅行保険は付帯しているケースが多く、国内旅行保険は付帯しているケースは少ないようです。まずは、手持ちのクレジットカードに旅行保険が付帯しているかどうか、付帯しているとしたら自動付帯か利用付帯かをチェックしてみてください。もちろん、補償の内容も、です。クレジットカード付帯の旅行保険の使い勝手や、海外旅行保険の選び方などは、クレジットカードのガイドサイトや損害保険のガイドサイトも読んでくださいね。
その上で、クレジットカードには付帯していない、付帯していてもちょっと心細いから旅行保険に入りたいという人のために、最近の商品傾向をお知らせしておきます。
海外旅行保険は、補償をパッケージ化した商品が多いのですが、治療費用を基本補償として、それ以外の補償は自由に選べ、行き先別で1日刻みで設定できる商品が登場しています。また、行き先別・保険期間などの条件に合わせて割引率を設定している商品も。これらの工夫をすることで、保険料は従来商品より30~40%安くなっています。さらに、治療費用、救援者費用を無制限にするなど、補償内容の充実を図った商品も出てきています。
国内旅行保険は、日帰り~1泊2日、2泊3日~3泊4日、2日間まで、4日間まで、7日間までなど商品によって保険期間と補償額は異なりますが、保険料は500円~1000円というリーズナブルな商品があります。補償額は少なくても、これくらいの保険料なら入ってもいいかなと思えます。
国内・海外ともに、ネットで手軽に加入できる保険が増えています。
旅行保険に加入するときは、自分が重要と考える補償の部分だけでもいいので、重要事項説明書などにサッと目を通して、どんなときに保険金が支払われるのか、支払われないのかをチェックしておきましょう。 旅行の計画を立てるときは、保険のことも考えてくださいね。