Q:では「遺言」で全てを長男に譲るとあった場合、法律上何も出来ないのでしょうか?
A:いいえ、方法はあります。法律では「遺留分相当額」の権利を主張することが認められています。法定相続分はお母様が1/2、長男、次男共に1/4となっています。遺留分相当額とは、1/4のそのまた半分、つまり1/8をいいます。ですから、仮に遺言で「全てを長男に」と書いてあったとしても、遺留分相当額1/8は取り戻すことができるということになっています。
法としては「バランス」を考えたわけです。例えば、「遺言があっても全て法定相続分で決めなさい。」とされたら「折角遺言を作ったのに、どうして自分の財産を法律が決めるんだ!」となります。そこで法律は「半分」という線を引いたわけです。それが遺留分です。ですから、双方のバランスをとると言う意味で、「遺産分割は話し合いで決めることを原則に、万が一争ってしまったら、法定相続分で分ける」「遺言で全てが長男にいくことになったら、遺留分は他の相続人で分けられるようにする」となっているわけです。
余談ですが、『このバランスとは「自由」「平等」に加える「博愛」だ。』と言われた弁護士さんがいらっしゃいます。「自由」はどう分けようと自由。「平等」は公平に均分で分けよ。極端な「自由」や、杓子定規で「平等」にならないよう、「博愛」という観点で考えると遺留分相当額は認める。ということだそうです。