特例が受けられる「相続開始直前の利用状況」とは
相続開始直前の利用状況はどうだったのか、取得者は誰か、この2点についてもう少し詳しく確認します。まずは「相続開始直前の利用状況」です。要件は、被相続人等(被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族を含む)の居住用又は事業用(事業には、不動産賃貸事業や特定同族会社(相続開始直前に被相続人及び親族その他特別の関係がある者が有する株式の総数が発行済株式の総数の50%を超える法人)の事業を含む)の建物または構築物の敷地として利用されていたことです。
例えば、被相続人の自宅・アパート・貸駐車場(アスファルトなどの設備があるもの)・事業所の敷地です。したがって、別生計の子の居住用・事業用の宅地や空き地では適用は受けられません。
特例が受けられる「取得者の要件」とは
相続開始後なら取得者の要件が問題
1. 被相続人の自宅の敷地
(1)配偶者
取得すれば要件を満たします。すぐに売却しても適用が受けられます。
(2)相続開始前から同居している親族(配偶者を除く)
相続税の申告期限まで居住し所有を継続する必要があります。
(3)相続開始直前に被相続人と同居していた法定相続人がいない場合には、別居の親族
相続開始前3年以内に日本国内にあるその者又はその者の配偶者の所有する家屋(相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋を除く)に居住したことがない人です。この人は、居住しなくても申告期限まで所有していれば適用を受けられます。
2. 被相続人と生計を一にしていた親族が居住していた家屋の敷地
(1)配偶者
上記「被相続人の自宅の敷地」の場合の(1)と同じです。
(2)その生計一親族
申告期限まで居住し所有を継続する必要があります。
3. 被相続人の事業用地又は被相続人の生計一親族の事業用地
(1)被相続人の事業用地は親族
申告期限まで事業・所有を継続する必要があります。
(2)被相続人の生計一親族の事業用地はその生計一親族
申告期限まで事業・所有を継続する必要があります。
4. 特定同族会社の事業用地
申告期限までにその法人の役員になっている親族。申告期限まで所有を継続している必要があります。
限度面積と減額割合
前述の1~4いずれかの要件を満たせば、それぞれ下記の減額が適用されます。・前述1および2
特定居住用宅地等:240平米(※)まで80%減額
※平成27年1月1日以降に発生した相続については330平米まで
・前述3(不動産賃貸事業※を除く)
特定事業用宅地等:400平米まで80%減額
※不動産賃貸事業 貸付事業用宅地等(200平米まで50%減額)
・前述4
特定同族会社事業用宅地等:400平米まで80%減額
なお、330平米と400平米の組み合わせの時のみ併用ができ、最大730平米までが80%に減額されます。
申告期限までに取得者が決まらない場合
申告期限までに取得者が決まらない場合には、小規模宅地等の特例の適用を受けられません。しかし、申告期限までに取得者が決まらない場合であっても、下記のいずれかに該当することになったときは、適用が受けられます。1. 相続税の申告期限から3年以内に取得者が決まった場合
2. 相続税の申告期限から3年以内に取得者が決まっていない場合には、その3年を経過する日において取得者が決まらないことについてやむを得ない事情(例.裁判中)があり、税務署長の承認を受けて、その事情がなくなった日の翌日から4か月以内に取得者が決まったとき
【関連記事】
平成27年相続税改正 小規模宅地等の特例編