相続・相続税/遺言書の書き方

遺言書の間違った書き方 6つの失敗事例(2ページ目)

前回は、「法的に有効な遺言」について確認をしました。「法的に有効な遺言」があっても、ご本人の意図と違う結果になることがあります。そこで遺言作成の実務上の留意点を確認しましょう。

執筆者:天野 隆

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死亡した人への遺言は無効

打合せ
思いを遺すには?
遺言を書いた後、配偶者や子などの相続すべき人が遺言者の前に亡くなってしまう場合があります。この場合、既に亡くなっている人の相続分は無効になります。その部分については、分割協議が必要になります。本来は、その都度書き直しをした方がいいのですが、そのときの遺言者の意思能力に問題があり、書き直しが出来ないことも。従って、病弱などの理由で、その可能性が高い場合には、「亡くなった場合には○○へ」と書く場合があります。

相続税の納税のことも考慮

遺言を残すときには、財産の分割を考えるだけではなく、相続税の納税のことも合わせて考えておきましょう。例えば、「妻と次男に預貯金、長男に不動産を相続させる」という遺言がありました。この場合、長男は、納税のために、不動産の売却や固有の財産から納税資金を捻出しなければいけません。また、相続税が高額であるため、不動産の売却が必要な場合には、相続税を負担する人に売却用不動産を相続させる必要があります。

このように、納税の資金繰りを考慮した遺言を作る必要があります。土地の評価を含めて相続税の計算をして、ざっくりと納税がいくら位かを知っておけば、こうした対策を立てることができます。相続税が絡む場合には、是非、相続の経験が豊富な税理士にご相談下さい。

思いを遺す

遺言書は、相続財産の分け方を書くためだけにあるのではありません。遺言者の思いを伝えなければ、良い遺言書とはいえないでしょう。そもそも遺言書を書くということは、法律で定められた相続分を超えて、誰かに財産を多く、それ以外の人には少なく相続させる場合が多いのです。その場合、遺言者の考えや思いが十分に伝わらなければ、納得できない相続人が出てくる可能性があります。

たとえつたない言葉であっても、遺言書を書く思いや背景が書かれていれば、相続人の気持ちは随分と違ってくるのではないでしょうか。「○○には渡すものは少ないけれども、本家を守り立ててやって欲しい」、「兄弟仲良くしてほしい」とった言葉がかいてあれば、思いの伝わり方が全く違うと思います。


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