予防接種・ワクチン/肺炎球菌・Hibワクチンの予防接種

インフルエンザ桿菌(Hib)ワクチンの方法と効果

最近、日本で発売になったワクチンです。インフルエンザ菌という細菌に対するワクチンです。このインフルエンザ菌は、髄膜炎など重症な感染症を起こすので、海外では予防接種が行われていたのですが、日本でもやっと行われるようになり、1年以上が過ぎました。

清益 功浩

執筆者:清益 功浩

医師 / 家庭の医学ガイド

Hibという言葉をご存知でしょうか? インフルエンザ桿菌b型(ヘモフィリス・インフルエンザ タイプb)の頭文字をとって、Hibを略しています。この菌は、髄膜炎を起こす菌として注目されています。

インフルエンザ桿菌(Hib)

インフルエンザ桿菌の電子顕微鏡の写真です。このように細長い形をしています(第一三共提供)

インフルエンザ桿菌の電子顕微鏡の写真です。このように細長い形をしています(第一三共提供)

この菌は、インフルエンザに罹った後に肺炎を起こすことで、インフルエンザ菌という名前がつきましたが、インフルエンザウイルスとは全く異なるものです。桿菌は、細菌の形が丁度、長細い形をしているので、そういう名前がつきました。
この菌で、
  • 気管支炎・肺炎
  • 副鼻腔炎・中耳炎
  • 喉頭蓋炎(ノドが腫れて、息がしにくくなる病気)
  • 髄膜炎
  • 敗血症(細菌が血液に侵入して、全身に広がる)
などを起こります。

髄膜炎

脳の周りをおおっている膜である髄膜(ずいまく)に炎症が起こります。脳に近く、脳炎を起こすこともあります。発熱や頭痛、嘔吐、けいれんなどの症状があれば要注意です。しかし、これらの症状は、風邪や胃腸炎などの症状に似ていますので、早期診断が難しいのです。

Hibによる髄膜炎は、生後3ヶ月から5歳までに多く、特に2歳未満が最も多いです。全国調査などから毎年約600人の方がHibによる髄膜炎になっています。髄膜炎全体ももっと多くなります。

治療は、抗生物質を大量で長期間使用します。最近は、抗生剤に効かない耐性菌が増えていますので、治療が難しくなっています。早期診断・早期治療ができたとしても、死亡例や後遺症を残す場合もあります。全体的には、死亡率は約5%、後遺症が約25%見られます。後遺症は、耳が聞こえない聴覚障害、発達が遅れる発達遅延、脳の中で髄液がたまる水頭症などです。

参考 子供の病気 「髄膜炎の原因・症状・検査」
「髄膜炎の治療と合併症、そして予防」

治療が難しくなり、重篤な後遺症が残るHibによる髄膜炎を予防するためにワクチンがあるわけです。

インフルエンザ桿菌(Hib)ワクチンとは

Hibワクチン(アクトヒブ)です(第一三共より写真提供)

Hibワクチン(アクトヒブ)です(第一三共より写真提供)

Hibの成分を処理した不活化ワクチンです。細菌は生きていませんので、比較的安全なワクチンです。DPT三種混合ワクチンと似ていますので、同時接種が可能です。欧米では、Hibワクチンによって、Hibによる髄膜炎や喉頭蓋炎はほとんど発症が無くなりました。かなり効果があります。

副作用としては、打った接種部位の腫れ、赤み、しこりや発熱などですが、数日のうちに消えてしまいます。

Hibワクチンのスケジュールと負担費用については次ページで。

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