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王家の古城を守る女性当主の生き方 後編(3ページ目)

前編に引き続き、トラクエア城の女性当主、キャサリン・マクスウェル・スチュアートさんにお話をお伺いします。当主としてのご苦労や、ご主人のこと、子育てのこと、社会参加についてお聞きします。

執筆者:平良 淳


子供が最優先

traquair
スチュアート家出身の女王メアリは、トラクエア城に滞在していたこともある。「王の間」には、メアリの生んだスコットランド王ジェームス 6 世 (イングランド王ジェームス 1 世) のゆりかごも残っている。
ガイド:
来年のスコットランド議員選挙に向けては、労働党から推薦を受けていらっしゃいますが、キャサリンさんのようなお家柄で労働党というのは珍しいことではありませんか?

キャサリンさん:
私の母方の祖父、カール・ソーンダース卿はロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの総長で、社会主義的な思想の持ち主でございました。そのため、私も思想的には母方の影響を受けているかもしれません。

トラクエア城を一般に公開するということも、母方の社会主義的な思想が強く影響していると思います。トラクエアは私たちが独り占めしてはいけない、これは皆の共有財産であるとういう考えが母にはありました。

ガイド:
お話をお伺いしていると、大変忙しいと思いますが、仕事と家庭の両立はどうされていますか?

キャサリンさん:
私は、忙しいほうが楽しいのです。何もすることが無くなると怠けてしまいますし。プレッシャーが大きいほうが力が湧くのです。それで、つい仕事を引き受けてしまうのですが、私の仕事の「つけ」を子供に押し付けるわけにはまいりませんので、時には仕事を諦めなければならない場合もございます。子供は私の最優先です。

それと、昼間は乳母が子供達の世話をしてくれます。また、私のオフィスは、ここにありますので、ランチタイムには子供達の顔を見ることができます。通勤に時間がかかるということもありません。子供達と一緒にいられる時間を最大限に持てることができるということは幸運なことだと思っております。



【取材を終えて】
化粧もせずアクセサリも身に着けない、飾り気のない知的な女性、というのがキャサリンさんの第一印象。でも、お話しているうちに、知性だけでなく、優しさと愛情も持ち合わせた女性であることが感じられてきました。

古城のこと、家族のこと、仕事のこと、社会貢献のこと、さまざまなことについて熱く語られるキャサリンさんとお話しているうちに、何をするにしても原動力は「愛」である必要があるということを教えられた思いがしました。

ここで紹介しきれなかった、キャサリンさんが情熱を傾けられるご邸宅の話や、5 つ星のビールと呼ばれるトラクエア・ビールの話は、また後日、レポートします。それでは、また!

【関連リンク】
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