鉄道/寝台・夜行列車

最後の力走、寝台特急「富士・はやぶさ」(4ページ目)

半世紀にわたって東京と九州各地を結んできた伝統ある寝台特急ブルートレイン。最後まで残った「富士」「はやぶさ」もいよいよ2009年3月で引退となる。栄光ある列車の最後の姿をレポートする

野田 隆

執筆者:野田 隆

鉄道ガイド

山陽路の長い夜

ソロの室内
ソロ個室内の窓側。テーブルもあり使い勝手はよい
長いホイッスルを残して関門トンネルへ吸い込まれていく。客車列車特有のチャイム「ハイケンスのセレナーデ」が流れ、下関到着の案内がアナウンスされる。トンネルを抜け、下関で電気機関車がEF66に交替すると、もう終点東京まで列車の編成変更はない。ようやく列車は落ち着きを取り戻した。

ゆっくりとした出発。重い客車を引っ張り出し、そろりそろりとスピードを上げていく動き方。あっという間に加速していく電車とは全く異なる乗り心地は、静かで安定しているが、現代の慌しいテンポとは相容れないものになってしまったのだろうか。こうした走り方のほうが旅にはふさわしいのだが。

ソロ室内の通路側
ソロ室内の通路側。ハンガーや装飾用の絵も掛けてあり、ビジネスホテルのような雰囲気だ
車掌が検札にやってきた。ひとりになると、やることもなくなったので、遅くなったが駅弁を開ける。窓の外は闇。時折通過する駅のホームの明かりが眩しい。B個室ソロは、限られた空間をうまく仕切って少しでも多くの人を乗せられるように工夫された密室だ。部屋の全ての場所で立っていることはできないが、ひとりで部屋を占拠できるので窮屈な思いはしない。座ってしまえば快適な空間となる。


スイッチボード
コンパクトにまとめられた個室ソロのスイッチボード
広島発車を窓から眺めて、寝台に横になる。ベッドメイキングは自分でしなければならない。ブラインドを下ろし、ライトを消すが足元の非常灯だけは消えない。カタンコトンという単調な響きが子守唄となり、いつしか夢の中となった。
個室が並んだ寝台車内の通路
ソロ個室がずらりと並んだ寝台車内の通路。ヨーロッパの客車を彷彿とさせる
寝台車は走っていると眠くなり、深夜に長く停車すると目が覚める。不思議なものである。ブラインドを少し開けると尼崎に停車している。客の乗り降りがない乗務員交替のための運転停車だろう。ついでだからトイレに行き、通路から窓外を見ていると列車は貨物線に入った。右手の遥か離れたところに大阪駅が見える。まもなく新大阪駅あたりで本線に合流して、京都を目指す。深夜の迂回運転を目の当たりにして、得したような気分だった。

最後に、夜が明けてからのブルートレインの様子をレポートしよう。
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