大学生の就職活動/就職活動の準備

就職活動時期とスケジュール

就職活動はできるだけ早く始めて、できるだけ多くの企業にアプローチするのが成功のポイント。本業(勉強)とのバランスを取りながら、自らの可能性を常に高く、広く求めよう。

執筆者:見舘 好隆

<INDEX>
  1. 就職活動のスケジュール全体を把握する
  2. エントリー(プレエントリー)は早めに準備
  3. 会社説明会に行かないと企業の良さは分からない
  4. 選考はエントリーシートを経て、筆記試験・面接から始まる
  5. 自分の可能性を信じて内定を取ろう

就職活動のスケジュール全体を把握する

スケジュール
就活の基本中の基本。タイミングに乗り遅れないこと。遅れることは、自らの可能性を狭めることだと理解しよう
年々早まりつつある就職活動。採用に影響を与える、夏のインターンシップへのエントリーを含めると、3年生の6月からスタートしてしまうことになるが、ここではインターンシップは除いて述べる。参考にさせて頂いたデータは、ディスコ「就職活動に関する調査」(2008年9月)。よって、2009年度採用のデータであり、アメリカ金融危機の影響を受けた2010年度採用とは違う。最新データが出次第、随時更新していきたい。推測だが、内定を出すのが遅れた以外、つまり他のスケジュールはそんなに変わっていないと考える。

以下が全体のスケジュールである。1つ1つ説明していきたい。
スケジュール
※図の見方:黒い矢印が開始~ピーク、白い矢印がピーク以降となる。


エントリー(プレエントリー)は早めに準備

スケジュール
「今日は目標1社!」など、しっかり時間を取って、目標を決めて、エントリーする会社を見つけよう
ここでいうエントリーとは、昔でいう「資料請求」を意味する。リクナビなど就職サイトを通して、興味がある企業に対し、採用活動の情報(エントリーシートの提出や会社説明会の案内など)をメールや郵便などで送ってもらうことを申請する作業である。

もっとも多いエントリー数は20~39社で、平均社数は44.5社となる(100社以上エントリーしている学生が10%いて、平均社数を引き上げている)。なお、内定がある学生の平均社数が47.9社、内定がない学生が35.3社となり、12.6社の差がある。闇雲にエントリーすればいいわけではないが、積極的に視野を広げて会社を吟味した数の差と考えれば腑に落ちる。エントリーしなければ、受験してしまう機会を損失する。ひいては自らの可能性に、蓋をすることになることを念頭に置いておいてほしい。

次に時期であるが、エントリーを開始した時期は11月後半、ピークが1月後半である。なお、内定が取れなかった学生がエントリーを開始した時期が12月後半、ピークが2月後半となり、1ヶ月差がある。エントリー社数と同様、就職活動への意欲の差とみてよい。自分の人生に多大なる影響を与える就職活動のスタートを、そんなに悠長に構えてどうするのだろうか。少なくとも全国平均より早く始めることを意識しよう。

会社説明会に行かないと企業の良さは分からない

スケジュール
ホームページを見ても、その企業の長所や短所はわかりにくい。会社説明会なら、質問もできるし、社員の人柄もわかる
会社説明会には2種類ある。企業1社で単独開催するケースと、リクルートや毎日コミュニケーションズなどが主催する複数の企業を一堂に会した合同説明会である。

もっとも多い説明会参加社数(単独)は10~19社で、平均社数は18.7社となる。なお、内定がある学生の平均社数が20.5社、内定がない学生が13.4社となり、7.1社の差がある。これもただ数をこなせばいいわけではないがエントリー同様、積極的に視野を広げて会社を吟味した数の差と考えれば腑に落ちる。特に会社説明会は「行ってみなければその企業の良さは分からない」と考えるべきであり、行かなければ「相性が合う企業と出会う」機会を損失する。ひいては自らの可能性に蓋をすることになることを念頭に置いておいてほしい。

次に時期であるが、説明会への参加を開始した時期は1月前半、ピークが2月後半である。なお、内定が取れた学生が説明会への参加を開始した時期が12月後半、ピークが2月後半。内定が取れなかった学生が説明会への参加を開始した時期が2月前半、ピークが3月前半である。言うまでもなく、就職活動への意欲の差であり、そのフットワークの差がそのまま参加時期に比例していることが見て取れる。とにかく、授業に影響を与えないことを前提に、できるだけ早く説明会に参加することから始めよう。
※合同説明会への参加社数は、内定の有無にはそれほど影響を与えていない(ありが4.0社・無しが3.8社)。参加経験の有無も同様(ありが88.3%・なしが80.6%)。単独で参加したいと思える企業を見出したかどうかのほうが重要だと読み取れる。

※残念ながら、日経連が発表した、大学卒業予定者・大学院修了予定者等の採用選考に関する企業の倫理憲章は奏功していない。外資系企業など日経連に参加していない企業は守る必要がないので、この問題はいつまでも各大学が頭を抱えることとなっている。就職活動で授業を欠席し、内定取っても単位不足で卒業できなかった例を私は過去何人も見てます。

選考はエントリーシートを経て、筆記試験・面接から始まる

スケジュール
SPI2対策も忘れずに。テストセンターを突破しないと、面接にたどり着けない企業も多い
企業の選考は書類選考(エントリーシート)を経て、筆記試験や面接からスタートする。筆記試験は最近、全国の主要都市の専用の試験会場にて、SPI2などをパソコンで受験するテストセンター方式が多い(特に大企業)。面接は概してグループ面接からスタートすることが多い(後半に個人面接)。

もっとも多い筆記試験・面接受験社数は10~14社で、平均社数は12.3社となる。なお、内定がある学生の平均社数が13.3社、内定がない学生が9.3社となり、4.0社の差がある。これはそのまま、エントリー社数や会社説明会参加社数と比例しており、言い換えれば「途中で諦めた」とも見て取れる。当然、受験をしなければ内定は取れないという現実から、逃げてはならない。

さて次に時期であるが、筆記試験・面接への受験を開始した時期は2月前半、ピークが3月後半である。残念ながら、内定が取れなかった学生が筆記試験・面接への受験を開始した時期が3月後半、ピークが4月前半と、差がまた半月~1ヶ月もある。エントリーから説明会参加に引き続き、内定がない学生が後手を踏んでいることが見て取れる。

※エントリーシートの平均提出社数も、内定ありが15.7社、内定なしが10.9社と大きくかけ離れている。当然ながら出さなければ受験できない。もし書けないなら、就職課やキャリアセンターに行って書き方を教えてもらって、1枚でも多く出そう。

※選考方法には、エントリーシートや面接、筆記試験のほかに、グループディスカッション(グループワーク)がある。

自分の可能性を信じて内定を取ろう

スケジュール
待望の内定。1つ取れば自信も出て、次々と内定が取れるようになるよ
内定(正しくは10月以前は内々定)を初回にもらう時期は、4月の前半が全体の4分の1を占め最も多く、過半数到達時期は4月後半である。ただし、2009年度はどうだろうか。まだ途中であり数値は出ていないが、私の実感値では開始時期は変わらなくても、過半数到達時期は約1ヶ月は後ろにずれているのではないだろうか。理由は言うまでもなくアメリカ金融危機に端を発した不況。採用数の削減、そして来年度の新卒採用数の決定がどんどん遅れたことが原因だろう。

特に内定に関して言えば、4月や5月に内定が取れなかったからもう駄目だとは決して思わないでほしい。実際、4年生の1月に内定を取った学生を私は過去に何人も見てきた。求人倍率が1.0を切っていない以上、自分自身が諦めない限り、内定を取る可能性はずっと続くのである。極論すれば卒業までに内定を取ればよいのだ。


まとめれば、就職活動はできるだけ早く始めて、できるだけ多くの企業にアプローチするのが成功のポイントとなる。

もちろん、極端に早く始める必要はない。学生の本分である勉学に支障が出ない範囲で行うことが基本。例えば、
  • 10月から始まる就職ガイダンスには必ず出る
  • 学内の会社説明会には、可能な限りたくさんの企業に参加する
  • 土日に開催される合同説明会に行く

など、授業との両立を原則に「さあ、就活を始めよう!」と意識を切り替え、節目をきちんと押さえ、効率よく活動することが基本。ダラダラとマイペースで始めることが、一番避けるべきことなのだ。

自分の人生に多大なる影響を与える就職活動。自らの可能性を常に高く、広く求めよう。
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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