『風林火山』では甲信越地方を中心に数々の名所・旧跡が物語の舞台として登場します。大河ドラマをきっかけにして観光ムードを盛り上げようとする所もたくさんあります。そこで今回は『風林火山』に縁のある名所、旧跡から、いくつかピックアップしてご紹介しましょう。
※画像は1999年4月、2000年4月、2003年8月に撮影したものです。
ヒロイン由布姫の故郷、諏訪の浮城 高島城
諏訪の浮城 高島城。諏訪湖の畔にあります。天守閣は1970年(昭和45年)に再建されたもの。 |
高島城は、長野を代表する湖の一つ、諏訪湖(すわこ)の畔にある城で、戦国時代に諏訪地方を治めた諏訪家が城主となった城です。
諏訪家は『風林火山』の物語と密接に絡む役割を持ちます。戦国時代、国境を接する武田家と諏訪家は一時期敵対したものの和睦を結び、諏訪頼重が武田家から正室を迎え同盟関係となります。しかし武田信玄(晴信)が父である武田信虎を追放し、天下取りに乗り出すにあたり、山本勘助が軍師として信濃(しなの)攻略を提案、その一歩として同盟を結んでいたはずの諏訪家を攻略し、滅亡に追い込みます。
この戦において諏訪頼重の娘、由布姫(ゆうひめ)の美貌に一目惚れした武田信玄は由布姫を甲斐へ連れ帰り側室に。敵方の娘を側室とすることに対する重臣の反発を押さえ込み、一族の仇である武田家の側室となることを選ぶ由布姫を影で支えるのが山本勘助なのです。
由布姫は武田信玄との間に勝頼を生みますが、その後若くして病に倒れ命を落とす薄幸のヒロイン。そんな由布姫の故郷である諏訪では武田氏滅亡の後、諏訪頼重の従兄弟である諏訪頼忠が大名として諏訪家を再興し、頼忠の息子である諏訪頼水が高島城のある高島藩に転封。その後明治維新まで諏訪家が諏訪一帯を治めることになります。
※由布姫は、歴史上の史料が少なく実名がはっきりしないことから、小説によって呼び名が変わっています。新田次郎氏の『武田信玄』では"湖衣姫(こいひめ)"、海音寺潮五郎氏の『天と地と』では"諏訪御料人"と呼ばれていますが、『風林火山』での呼び名"由布姫"として紹介します。
高島城の内部には、資料室と展望室が設けられています。展望室からは諏訪の街を一望できます。 |
今回、大河ドラマ『風林火山』で注目が集まることから、高島城では天守閣内の展示物を全面的にリニューアル、2007年4月から5月にかけては高島城と諏訪市内全域で「諏訪由布姫まつり」というキャンペーンも行われます。
近隣には御神渡り(おみわたり)で知られる諏訪湖や諏訪大社、少し足を伸ばせば車山高原や白樺湖などの観光ポイントも充実していますので、この機に訪れてみるといいですね。
さて、次は武田信玄の永遠のライバル、上杉謙信の居城と、武田家の本拠となった場所をご紹介します。次ページに続きます。