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学力も「格差社会」到来!我が子をどう守る?

ゆとり教育導入から数年経ち、学力の変化に関するショッキングなデータもあるが、一方でゆとり教育の見直しが検討されている。そんな中で自己責任で子どもの学力を守るにはどうすればいいのだろうか。

高橋 公英

執筆者:高橋 公英

学習・受験ガイド

文科省中央教育審議会の教育課程部会は、授業時間増加を検討すべきという経過報告をまとめた。ここ30年近く減り続けた授業時間が増えることになれば、方針の一大転換だと言える。

現在の私立・公立中高一貫校人気は、公教育に任せていたのでは学力が低下するのではないかという不安によるものも大きい。最近、また一つゆとり教育の批判材料となる調査結果が公表された。

正答・誤答の円グラフ
少数と整数の足し算の正答・誤答の円グラフ。簡単な小数の計算間違いが半数以上
長野県教育委員会は2月10日、県内の小中高校生を対象に本年度実施した学力実態調査の結果を公表した。調査内容の一例を挙げると
小学5年の算数 小数と整数の足し算1.4+3=?
正答率は45.9%(前年度-9.9%)
1.7という誤答が44.2%

前年度の約56%でもそれしかできないのかと驚きだが、小数点の位置・位取りといった数の基本概念が理解できていない子どもが半数もいるというのは、大変なことだと思う。もっと大騒ぎにならないとおかしい。現状に慣れてしまったのだろうか。

一方私学はどうかというと、入試問題を見てみよう。
女子学院 2006年度入試算数1-(3)
(5-3/7÷0.24+3/14)×0.7=?

女子学院受験生にはサービス問題であろうこの問題で、計算ミスをする生徒はほとんどいない。計算問題ひとつとってもこの違いなのだから、学力や知識のレベル差は相当なものだ。

知識応用のリテラシーとしては、今話題になっている「格差社会」がすでに現実のものになってしまっている。

東京の公立中高一貫校に数千人の応募者があったり、進学重点都立高校の日比谷には4倍を超える応募者がある。子どもの学習環境に意識の高い親とそうでない親は、公立を選択した家庭にも広がっているのだ。

公教育において学力低下が改善され上向きになったというデータが発表されるようになるまでは、今の中高一貫校受験ブームは続くのではないだろうか。そしてそれはまだ数年以上続くはずだ。

それまでの間は「自己責任」で我が子の学力向上を図らなくてはならない。その方法として典型的なのは
大学への道のり
大学へ至る道は複数ある
幼稚園・小学校受験のみ
大学まで受験なし。入学してしまえば伸び伸び。ただし幼児期に「お勉強」が必要。また希望の進路に進むためには内部進学といえども勉強しなくてはならない。系列大学にその時点での希望学科がないと悲劇。
中学受験のみ
大学まで受験なし。高校受験もなく思春期が伸び伸びと送れる。小学校高学年の3年近く塾通いの犠牲は払う。系列大学にその時点での希望学科がないと悲劇。
中学受験→大学受験
受験は2回。高校受験なく、思春期が伸び伸びと送れる。小学校高学年の3年近く塾通いの犠牲を払う。中3から高1にかけて学力が中だるみする心配がある。また大学受験勉強は必要。学校によっては高3の1年間を受験勉強に充てられるカリキュラムになっている。
高校受験→大学受験
同じく受験は2回。中学と高校が3年間で分断される。ただし、高校受験勉強のおかげで、学力の中だるみは少ない。高校は公立と私立半々ぐらい。中学生活に内申書の影がつきまとう。高校受験のために塾通いも一般化。
(番外)高校受験→大学推薦
高校入学後、学力を上位キープし、楽チン推薦入学。私学が第一志望ならば高校の成績次第で有名私大へも推薦で。

小学校受験は学校のブランドが重視されがちで、一方、中学受験は偏差値や系列高校の大学進学実績中心の学校選びになりがちだ。大学卒業までのプロセスについて、それぞれのご家庭でどのコースを選ぶのか、お子さんの性質も見ながら検討してみていただきたい。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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